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 1月10日、中国で「春運」と呼ばれる特別交通ダイヤが始まった。春節(旧正月、今年は1月25日)前後の大型連休に合わせた帰省や旅行需要の増加に対応するもので、2月18日までの40日間実施される。中国国家発展改革委員会(発改委)は春運期間中の旅客数について、前年比微増の延べ30億人になると予測している。

 春節期間中、中国はさながら「民族大移動」のような状況になる。観光地や交通機関はどこも大混雑だ。高速鉄道などを運営する中国鉄路はネットで事前購入すれば身分証だけで乗車できる電子チケット化を進めるなど、オペレーションの効率化に余念がない。

春運初日、1月10日の浙江省杭州の高速鉄道ターミナル駅は人であふれた(写真:ZUMA Press/アフロ)

 連休を利用して海外旅行をする人も多い。「今回の春節はいつも以上に日本の人気が高い」と中国の旅行会社スタッフは打ち明ける。1月11日に実施された台湾総統選を前に、蔡英文政権にダメージを与えたい中国政府は本土から台湾への個人旅行を禁じていた。香港も抗議活動の長期化で嫌気されている。距離的に近く、物価も安く、サービス品質が高い日本はそうでなくても人気の旅行先だ。日本国内の旅館や交通機関、飲食店は、多くの中国人でにぎわうことになるだろう。

 インバウンド(訪日外国人)需要の盛り上がりが期待されるが、それに水を差しそうなのが、中国湖北省武漢市で2019年12月から発生している原因不明の肺炎だ。

 中国国営の新華社通信は1月9日、専門家チームが新型のコロナウイルスを検出したと明らかにし、これが病原体だと初歩的に判断したと伝えた。02~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や12年に確認された中東呼吸器症候群(MERS)の原因もコロナウイルスだったが、今回は異なる種類という。1月11日で明らかになっている感染者数は41人で7人が重症、1人が死亡した。すでに退院した人は8人いる。海産物市場の関係者に発症者が多く、同市場は営業停止となった。