- 01 アメリカの経常収支赤字は「負け」か?
- 02 経常収支をファイナンスできるのは「アメリカの勝ち」
- 03 財政拡大すれば金利が上がる
- 04 アメリカ長期金利が上昇
- 05 ドル高になれば、貿易赤字はさらに拡大する
- (06以降に続く)
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■シリーズ予告■
ドナルド・トランプ米大統領が進める経済政策を「経済学」の視点から評価する。
貿易赤字を“負け”とみるトランプ氏は、その一方で減税を進める。減税に伴う財政収支の悪化は、貿易収支の悪化を導くのが経済理論の語るところ。さらに、減税やインフラ投資は金利を上昇させ、ドル高をもたらす。ドル高も貿易赤字を拡大させる要因だ。
トランプ氏の政策は自ら“負け”を導くもので、とても「アメリカ・ファースト」とは言えない。経済学の視点から見ると、こんな矛盾がいくつもある。
そもそも貿易赤字は“負け”なのか。経済学では、そうは見ない。貿易赤字は、国内で生産するもの以上のものを米国民が消費・投資に充てられることを意味する。これは国民にとって望ましいことだ。
さらに米国には、貿易赤字を賄うだけの資本が流入している。あえて勝ち負けをつけるなら、“勝ち”とも言える。
経済学の泰斗、野口悠紀雄・一橋大学名誉教授が、ビジネスパーソンが知っておくべき経済理論を解説しつつ、トランプ政策を斬る。
「IS-LM分析」や「比較優位」など、かつて教科書で見た理論を学び直す動機となるだろう。
>>1月17日から毎週木曜日掲載
一橋大学名誉教授

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