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今回のチェックポイント
  • ●織田信長は古代から続く土地制度を破壊
  • ●土地にまつわるすべての権利を家臣に保証した
  • ●南蛮貿易を掌握し、火薬の原料を獲得する道を確保した
ラインアップ 全10回(毎週火曜日掲載)
※今後の内容は変わる可能性があります
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 今回は織田信長を取り上げます。

 戦国大名のチャンピオンは誰か。私はやはり織田信長だと思います。

 実は今、歴史学会では、織田信長は普通の戦国大名の一人だったという説が力を持っています。織田信長に画期性を求めないわけです。

 しかし、私はこの見方には賛成できません。織田信長が並の戦国大名だったら、どうして戦国時代を終わらせることができたのでしょうか。この問いに答えることができなくなってしまうのです。

 では、織田信長のどこに画期性があるのか。その一つは南蛮貿易を手掛けたことです。南蛮貿易は莫大な利益をもたらしたとみられます。帳簿が残っているわけではないので証明することはできません。しかし大友宗麟の存在がその傍証になるでしょう。

 大友宗麟は豊後の国、今の大分県を治めた戦国大名です。日本の海外貿易の玄関口はずっと博多でしたが、南蛮貿易に限っては豊後府内(大分市)がその役割を果たしていました。キリスト教を容認し、南蛮の交易勢力を大分に導き入れたのです。

 そして宗麟は九州9カ国のうち6カ国までを大友家が支配する体制を築きました。これは、南蛮貿易で得た利益があったからこそ、九州をまたにかけた大戦の戦費を賄えたからだと思います。まさに、経済が政治と軍事をけん引したのでした。

 同じように南蛮貿易を重視したのが織田信長でした。当時の最先端兵器は鉄砲です。その鉄砲に使う黒色火薬の原料となる硝石は、日本では産出しません。貿易するしか入手する手段がありませんでした。信長はこの硝石を獲得するための貿易を手中に収めていたのです。

織田信長(提供:GRANGER.COM/アフロ)

>>続きは上の動画でご覧ください。

本郷和人(ほんごう・かずと)
東京大学史料編纂所教授

1960年生まれ。東京大学・同大学院で日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史。史料編纂所で古代資料部門を担当する。著書に『考える日本史』『承久の乱 日本のターニングポイント』など。