モンスター顧客が逮捕された例として様々なお店に7000件以上いいがかりの電話をかけて、約1200店から商品や金銭をだまし取った女が2015年に詐欺容疑で逮捕された事案がある。このケースのように件数が膨大にならないと警察は動いてもらえないことが多い。

 企業にとってモンスター顧客の振る舞いで困るのが料金の踏み倒しだ。言いがかりをつけて支払いを拒む。企業にとっては金銭的な被害が出てしまい課題として大きい。「最近医療機関への言いがかりが増えてきた。治療費などを踏み倒すケースがある」(森山弁護士)。

 未払金は1件あたり20万円ほどが多い。弁護士に依頼しても着手金など費用を考えると、手元にほとんど残らない計算になる。森山弁護士が企業にアドバイスするのが督促手続きだ。簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てるもので、書類審査だけで裁判所へ出向く必要がない。

 申し立てられた顧客は支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければならない。申し立てがなければ、強制執行の申立てができる。顧客に資産があれば勝率は高い。

弁護士に対応を一任

 モンスター顧客から身を守る方法の1つとして有効なのが、対応を弁護士に切り替えることだ。法理論や規約に基づいた理論的な回答を伝えることで、おおむね収束するという。そのためにも、規約は時代や生活様式の変化に合わせて、変化させることが身を守る上で大事だ。ほとんど読まれていないだろうと最初に作ったものを改変もせず、長年ほったらかしにしていると、万が一のときに対応できないかもしれない。城山タワー法律事務所の蒲俊郎弁護士は「規約はクレーマーに対する最大の武器。どういった問題が起きるかを分析して、規約に盛り込むべき」だと指摘する。

 絶対にやってはいけないことは、特別対応だ。やり取りの内容をSNS上にアップされてしまう危険性がある。蒲弁護士は「昔は個人の情報発信手段がなかったが、いまは誰でも発信できるようになった。全ての人に伝わり、特別な謝罪対応が1つのパターンとなってしまう」と警鐘を鳴らす。

 例えば髪の毛といった異物混入の疑いがある場合は商品を郵送してもらい第三者機関で検査する。代替品の提供以外の便宜を計らないのが基本ルールとするべきだ。「対応できる範囲を決めて示す。断るべきことは断る」(援川社長)。コールセンターや飲食店などは人手不足に悩む企業が多い。従業員を守る姿勢を見せることが、人手を確保するうえでも重要となりそうだ。