7月の配信開始直後から、大ブームになったポケモンGO。その熱狂ぶりに伴って、様々な問題も指摘されている。
今回は、「不満買取センター」が実施したアンケート(調査期間:2016年7月28~29日/有効回答1000人)の結果と、代表的な意見を紹介する。アンケートは、不満を回答してもらう質問が中心。利用者・未利用者ともに、「歩きスマホ」に伴う危険性への危惧・不満は共通している。
「近くにマクドナルドがない。つらい」
アンケートでは、「マクドナルドの店舗がジムやポケストップになっていることへ不満」を、ポケモンGOのゲームアプリの利用経験者と未経験者に分けて尋ねている(「ジム」はキャラクター同士が対戦できる場所で、「ポケストップ」はゲームの進行に役立つさまざまなアイテムがもらえる場所)。
利用経験者の回答結果(回答期間:7月28~29日/有効回答1000人)が下記のグラフだが、利用経験者と未経験者で結果に大きな差はない。ともに、「混雑するためゲームをしない人には迷惑」と「マクドナルド以外と提携するべき」の数値がとりわけ高くなっている。
マクドナルドの店舗がジムやポケストップになっていることへの不満(ポケモンGO利用経験あり)
マクドナルドの店舗がジムやポケストップになっていることへの不満(ポケモンGO利用経験なし)
これらの不満を寄せた回答者のコメントは、以下のようなものだ。
「席に居座ってポケモンGOで遊んでいる客が多く、迷惑」(38歳、女性、自由業)
「マクドナルドがとても混んでいる。席が空かない。商品を買わない人は追い出していいと思う」(27歳、男性、会社員)
「ポケモンGO人気が落ち着くまでマクドナルドには行かない」(24歳、女性、その他)
「マクドナルドがたくさんある都心はいけれど、田舎は全くない。つらい」(21歳、女性、学生)
「マクドナルドを利用することがないので、他の飲食店にもジムやポケストップになってほしい」(36歳、女性、会社員)
「ジャンクフード自体を頻繁に食べるわけではないので、スーパーとかショッピングモールにジムやポケストップが広がればいい」(25歳、男性、会社員)
「ながらスマホ」前提のゲームを配信していいのか?
次に、ポケモンGOの普及に伴って生じている変化への不満を紹介する。
ゲームの普及に伴って生じている変化への不満(ポケモンGO利用経験あり)
ゲームの普及に伴って生じている変化への不満(ポケモンGO利用経験なし)
利用経験者・未経験者のいずれも、「ながらスマホ」によって生じる危険性への不満を訴える声が上位を占める。
「どうやっても歩きスマホしないとゲームができない。4車線道路をポケモンを探しながら渡っている人を見た時は、これはイケナイと思った」(49歳、女性、パート・アルバイト)
「画面を見ながら歩いて探すというのは危ない以外の何物でもない。事故が起きたりするということは想定内ではないのか?」(28歳、女性、その他)
「前を見ないで角を曲がってきたりするので、ぶつかりそうになる」(42歳、男性、自営業)
「ポケモンを見つけた人が急に立ち止まり、ぶつかってしまったりするので危ない」(30歳、女性、会社員)
「そもそも歩きスマホ、ながらスマホの危険性が問題になっている中、そうした行動を助長させるようなゲームが配信されること自体間違っている」(55歳、男性、自営業)
ながらスマホ以外では、「公園や道などが混む」「私有地や立入禁止区域にポケモンが出る」といった不満の声が目立った。これらの不満も、経験者・未経験者の双方から挙がっている。
「地方では、限られたポケストップとなっている駅前などに人がたくさん集まり、とても邪魔」(45歳、男性、会社員)
「動物園や博物館などの施設がレアポケモンを捕まえられる場所になっており、観賞などを目的に来ている本来の客に迷惑を掛けている」(46歳、女性、その他)
「住宅街なのに、スマホを手にした見慣れない人がたくさんいて不気味。空き巣の下見と区別がつかない」(45歳、女性、専業主婦)
「家の前の公園がポケストップになっているらしく、昼も夜も毎日たくさんの人がうじゃうじゃしている。夜は、暗闇の中、スマホの光に浮かび上がった人がそこかしこに立っており、ゾンビみたいで怖い。はやく以前の静かな暮らしに戻ってほしい」(43歳、女性、専業主婦)
「敷地境界のあやふやな場所にも、ポケモンの獲得を目的に平気で立ち入る。危険性が高い」(47歳、男性、会社員)
「スマホばかり見ていて、道から不用意に飛び出す子供が目立つ。これで事故が起きたらどうするのか」(40歳、男性、会社員)
「夫が子どもと外出するようになってうれしい」
ポケモンGOは一気にブーム化したこともあり、熱心にゲームに興じるプレイヤーを気味悪い、あるいは、迷惑だ、危険だ、と思う人もいるだろう。半面、このゲームは、人々を外へと連れ出し、新たなコミュニケーションやビジネスを生み出す力も秘めている(特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」を参照)。
下のグラフは、不満に限らない自由意見を求めた質問への回答を内容別にまとめたものだが、利用経験者・未経験者の双方で、3位に「外出のいいきっかけになる」が入っている。
「出不精の夫が、ポケモンGOのおかげで子どもと一緒に外出するようになってとてもうれしい。外出すると新しい発見もあり、ゲーム以外でも楽しい時間をすごせている」(25歳、女性、専業主婦)
「ポケモンGOをきっかけに、友達と一緒にウォーキングの計画を立てるのが楽しい」(42歳、男性、会社員)
といった声も、調査では寄せられた。
ポケモンGOに関連しては、“ながら運転”が原因とされる痛ましい事故も報じられている。今回取り上げたような不満や問題を含め、事業者側は解決のためにどういった手を打っていくのか。
ユーザーのマナー違反に起因した事故の可能性があるという欠点を理由にポケモンGOを「否定」するのは簡単だが、一方で、このゲームが、大きなポテンシャルを秘めていることもまた事実。今回紹介したような不満や要望の声を伝えながら、今後の改善への取り組みを、もうしばらく見守ってもいいのではないだろうか。
データ協力:
「不満買取センター」
世の中のあらゆる不満を買い取り、データ解析を通じて、企業や社会によるサービス改善や商品開発を支援している。
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