矛先のもう1社はインテル
グーグルのTPUは、ASIC(特定用途向け半導体)の一種。特定用途に向けて開発されているため、消費電力量を抑えられるなどのメリットがある。
ただし、エヌビディアのディープゥ・タッラ副社長はこう反論する。「ASICは半導体というハードウエアに100%依存し、(後からプログラムを変えるなどの)ソフトウエアへの依存は0%。つまり、AIが進化してもプログラムを書き換えられない。AIがどんどん進化する時代には向いていない」
グーグルの矛先のもう1社はインテルだ。
インテルはAI用半導体として有力視されているFPGA大手の米アルテラを約2兆円で買収している。つまり、AI用半導体の答えの一つとして、FPGAに“賭けた”わけだ。グーグルが「FPGAを放棄した」と記したのは、インテルを挑発しているとも取れる。
インテルが狙うAI用半導体の主用途の一つは自動運転。今年3月には、イスラエルの自動車向け画像解析半導体メーカーのモービルアイを約1兆7000億円で買収すると発表したばかりだ。

ただしこの買収に関しては、「モービルアイはプロセッサーを持っていない。インテルはソフトウエアを持っていない。AIでの遅れも感じている。そこで買収が成立したわけだが、モービルアイの開発環境は閉鎖的だ。我々のほうが何年も先を行っている」(エヌビディアのロブ・チョンガー副社長)との声もある。
自動運転車の開発でインテルは独BMWと提携しており、BMWのドイツ本社は日経ビジネスの取材に対し、自動運転車の開発に当たって、インテルが買収したアルテラのFPGA技術を活用することを明かした。
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