営業会議でも発想を変えることが必要です。経営者が同席した場で営業担当者に売り上げを報告させ、「なぜ達成できなかった?」と叱るような、結果だけを重視する方法はやめるべきです。営業のプロセスを細かく分解し、各プロセスをどう改善すれば受注が増やせるのかを考える会議に変えましょう。
新規開拓の目標件数が未達だったなら、アポイントが取れなかったのか、アポイントは取れても商談に結びつかなかったのか、商談で受注できなかったのかを分析します。訪問までは実現するが、見積もりに進むことが少ないと分かったら、どうすれば見積もりを取れるかに焦点を絞って全員でアイデアを出し合いましょう。
インターネット全盛の時代ですが、こうした営業担当者同士のアナログなコミュニケーションを増やすことで、担当者の頭の中だけに留まっていた暗黙知を引き出して共有でき、成果につながりやすくなるのです。
営業の話し方は適切か?
ある素材メーカーでは、営業担当者から出てきた見積もり獲得のアイデアを実践し、新規開拓件数を5割伸ばしました。具体的には「見積もりを取らせてください」と切り出すまでの営業トークの流れを見直しました。
従来は、自社製品の特徴をひたすらアピールするばかりだったので、「今は間に合っているよ」と断られることがよくありました。
そこで、話の進め方を見直し、「御社はこの部品にどんな素材をお使いですか」などと相手のことを細かくヒアリングすることにしたのです。すると、相手のニーズがよく分かり、それに合わせた提案ができるようになりました。「その素材でしたら当社の素材に切り替えれば性能が上がるので、1割以上コストダウンになりますよ」「見積もりを取らせてもらえませんか」と話を進められ、新規受注が増えたのです。
こうした営業時のヒアリングを丁寧にしていると、IoT(モノのインターネット)、次世代自動車、ロボットなどニュースで話題となっているような成長市場に参入できるチャンスが生まれます。
中小企業が、これらの市場を直接狙うのは難しくても、IoTに使う小型プリンター、ロボットに使うネジといった形で自社の得意分野と重なるニッチ市場に狙いを定めれば、チャンスは十分にあります。ロボットなら、製品の軽量化が重視されています。その知識があれば、「うちのネジなら耐久性は同じで3割軽量化できます」といった提案はできるはずです。
大手企業が性能のよい新しい部品を調達しようと系列外に門戸を開くケースが増えています。事前準備をして相手の要望を先取りした提案をすれば、話を聞いてもらえるチャンスは増えています。
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