『うつヌケ』は、2017年刊行のベストセラー漫画。著者の田中圭一さんが、自らの“うつトンネル”脱出体験をベースに、うつ病からの脱出に成功した人たちをレポート
著者はシニア産業カウンセラーで臨床心理士。『ブラック・ジャック』の名シーンも多数掲載。「職場あるある」の悩みに、ブラック・ジャックならばどう答える?

 『ブラック・ジャック』は、プロフェッショナリズムの教科書――そんなコンセプトでお送りする、漫画家の田中圭一さんへのインタビュー。

 第2回は、2度のどん底を経験した田中さんの仕事人生と、その教訓。

 バブル期に玩具メーカーに就職し、サラリーマン兼業で漫画家を続けること三十余年。漫画家として売れた時期と売れなかった時期があるからこそ抱く、編集者への複雑な思い。大好きな営業の仕事を外された後、いかに「楽しいサラリーマン生活」を取り戻したか。しかし、その先にまさかの“うつトンネル”……。

 手塚治虫の生誕90周年の節目に上梓された『もしブラック・ジャックが仕事の悩みに答えたら』(尾﨑健一著・手塚プロダクション協力)とのコラボ企画。

田中さんは漫画家としてどん底と絶頂をジェットコースターのように行き来された。そこで得た教訓がある、と前回うかがいました。今回はそこをぜひ詳しく。

 僕は30年以上、漫画家をやってきて「もうこの仕事では食えない」という直前まで行ったことが2度あるんです。

 1度目はデビューして10年くらいたった頃、1990年代半ばです。
 大学在学中にデビューして、卒業後は玩具メーカーのタカラ(現タカラトミー)に就職。サラリーマンと2足のわらじの漫画家生活を始めました。

2007年に青年漫画誌に連載された作品。電子書籍でフルカラーのリニューアル版が出ている

 会社では営業職で、体育会系のノリの職場。ノルマはきつくて残業もたくさんしましたが、アホみたいなことにも熱くなれるいい先輩や上司、同僚に恵まれて充実していました。サラリーマンとして多くのことを深く学べたと思います。

そんな往年のタカラ営業所の様子は、『サラリーマン田中K一がゆく!』といった作品に描かれています。古き良き昭和の職場の空気感がにじみます。

 ああ、それは僕の「まだ表に出せる」ほうの漫画ですね。

そういえば、田中さんの名刺の肩書は「最低シモネタお下劣パロディー漫画家」ですね。