IoTというと、通信機器を搭載したメガネや腕時計といったウェアラブルを思い浮かべる人は多いだろう。しかし、工場の生産設備をインターネットでつないで一元的に監視・管理できるようにすることもIoTの一つ。近年は「インダストリー4.0」の呼び名でも知られている。

 通常、IoT工場を作るにはあらかじめその目的で作られた最新設備を導入する。しかし、片山氏の頭にあるのは、それだけではないようだ。既存の古い設備にもセンサーや通信機能を追加することで、新旧に関係なく工場内にある全ての設備を一元管理できるようにするという。

 ここで記者が気になったのは、「見える化ツールの標準化」だった。新旧を問わずIoT化すると言っても簡単ではない。機械の何を見える化し、どうなった時にどうしたいのかの「標準」を新旧で共通にしなければ、一元で見えるようにしたところで意味がないからだ。

 これは一般論だが、例えば、新しい機械では「ツール(切削加工なら部品を切削する工具)が○μm消耗したら自動で停止する」という仕組みが付いていたとする。しかし、旧式の機械にはない。この場合、旧式でも同じように消耗を検知するセンサー類を付けてアラートを出すようにすることもできるが、「そもそも○μmで良いのか。部品によっては、もっと前に知らせるべきではないのか」といったことを十分に議論した上で標準化する必要がある。

 この点を佐藤氏に聞いてみると、「まさにそこで苦労しているが、11月には完成させたい」と意気込む。やるとなったら「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」が日本電産創業者、永守重信・会長兼社長のやり方。それは片山氏も同じらしい。

郡山事業所で粛々と進む「秘密の取り組み」

 前述の「ロボットでロボットを作る」は、こうした地道な活動の先にある。全てが見える化できたら、モニターを生産技術者の大部屋(白い建屋の2階)に置き、遠隔で管理できるようにするという。

 ただし、これだけではロボット(完全自動)でロボットは作れない。自動化のネックはこれまでどうしても人手がかかってしまっていた「組立工程」にある。この点でも抜かりない。白い建屋の1階では、組立工程の自動化に向けた取り組みが進められていた。

 記者は幸い、ガラス越しに取り組みの様子を見ることができた(撮影は不可)。詳しくは説明を避けるが、「あれだけ小さなスペースで組み立てができるなら設備投資をしてもトータルコストを下げられそう」という感想を持った。実現すれば、人件費の高い日本にも製造拠点を設けられる可能性も出てくる。

 工場でした失敗は工場で取り返す。そんな片山氏の「本気」を見た気がした。