世界有数の物流会社向けに開発したAGV(無人搬送機)の駆動装置も、やはりモーターを核にしたモジュールです。
永守:インターネット社会がやってきて、物流が変わった。だから倉庫がばんばん建っていく。でも、1つの倉庫に大量の人手はかけられない。それで、無人搬送機だと。
もともと、日本電産はハードディスク用の精密モーターが柱だった。その大手物流会社も当然、パソコンは大量に使う。それで、話をしているうちに、コンピューターよりも、倉庫でものすごい難儀していると聞いてね。すぐではなかったけど、そんなことで始まったんですよ。
世界中の社員達と食事をして話す
モーターの用途が非常に広がっている。だから、半導体を使う電子制御機器と組み合わせてさらに付加価値を上げるニーズが高まるようになったと。
永守:だからモーターに減速機や電子制御回路がぼんぼん付く。回路は半導体ですから。原価の半分ぐらいは、これらで占めるようになるというわけです。だから将来、車がEVになったら原価の25%とか30%がモーターだということになるんですね。完全にキーコンポーネントになるわけ。
半導体といっても、いろんな種類があります。ルネサスエレクトロニクスを買収するのでは、といった憶測も流れました。
永守:いろんな半導体があるけど、うちはパワー半導体しかいりませんからね。電力の制御や供給を行うもので、モーターを動かすにはこれがいる。まあ、あえてややこしい会社はやめて、じっくりいきますよ。
世界中を出張しては、子会社の幹部だけではなく、社員とも食事をして話しますね。メールもどんどん受け付けているとか。ビジネスに対するカンは、そこからも得るわけですか。
永守:みんなを見ているよ。ものすごい行って見ているわ。おそらく3000人ぐらいのメールアドレスは分かっているし、幹部がどういう状況か、まあ、ほとんど把握しているわね。
昼食会だって、どこへ行ってもやっている。20人ぐらいとか、15人くらいを相手にね。だからもう何かあったら僕のところに直に投書が入るわけです。全部分かっている。そういうことが大事なんですよ。自分で掴まないといけない。
グローバル化しても、徹底してローカルですね。
永守:そうです。最近入ってきた人でも実績を挙げれば、すぐに昇級させる。入って6カ月で2回昇級したのもいる。経営者は、それを見てないといかん。たいして大きくもない会社なのに、課長の顔も知らんというような経営者がいたら、信じられんわな。
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