次のM&Aで狙う「大きな会社のモーター部門」

エマソンからは今回、サーボモーターの事業も買いました。

永守:おお、巨大なロボットのサーボモーターの事業ね。ロボット分野に出ていくためにな。工業用ロボットとか、いっぱいあります。そのサーボモーター事業も買った。

 それは今までなかったんです。小さなサーボモーターは、昔買収した日本サーボのものがある。今度は大きなやつね。こうやって、ぼんぼんぼんと行くべき道へずーっと全軍がそろってきている。

そういう市場の先行きはどうやって予想して、準備に入るのですか。

永守:例えば、原子力発電への反発が強まると。ドイツもやめ、イタリアもやめと動き出す。ということは代替エネルギーが必ずいるはずと。

 その代替エネルギーはどっちに行くのか。風力か、それともいまさら水力はないやろうと。でも、考えていくと、蓄電装置がいるなとなる。そのためには、蓄電機だけではなくて発電機もあるとモジュールになる。だからM&A。こんなのを作れるところは世界にそれほどないんですよ。

 名前は言えないけど、大きな会社のモーター部門などを考えてるよ。

ソリューションが事業を創る元

いつも、周到に調べますね。どこにどんな会社があって、どうすればいいかを。

永守:全部分かっているわけ。ここは誰がやっていて、どのぐらいの力があるのかと。大事なのは、やっぱり世の中のソリューションというかな。原子力問題が起きた。空気が汚れているとか。それを見ないといかん。

中国では低速のEV(電気自動車)向けの基幹部品も出しました。

永守:ゴルフカートみたいなものだけど、公道で走れる。その駆動システムの基幹部品。あれは、中国は環境問題がいろいろ言われるけど、すぐにEVにはいかないと見てやった。本格的なEVに行くのはまだ先だと。ゴルフカートみたいな感じの車だけど、十分売れると思ったらやっぱり当たっているわけ。

どのくらい、走れるのですか。

永守:そんなに高速では走りません。最高でも時速80キロ。でも、1回の充電で100時間走るからね。十分なんです。

 で、ここから始まっていって、その次に彼らは普通のEVを買うはずだからね。そこに照準を合わしたらいいわけですよ。それを見ていると、いつごろに本格的なEVを造ったら売れるのか分かるでしょう。

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