Farm to Fork市場に限らず、インドのテクノロジー市場、スタートアップ市場、数が多いということは一方で、玉石混交であることは否めない。

 実際に我々もインド国内のアクセラレーターやインキュベーションネットワーク等を訪ねたりする中で、非常に面白いモデルもあれば、単に既存モデルのコピーをしているだけのところや、口だけのようなそんな企業も多数ある。一回インドのスタートアップと取り組んでみたけどなかなかうまくいかないという話も聞く。玉石混交の中からいかにしていいリソースにアクセスできるような仕組みを作るのか、そしてインドの人たちに「選んでもらえる」ようなプログラムをどう作れるかが肝になる。残念なことに日本企業のプレゼンスは高くないので、相応のマーケティングも必要不可欠だ。

 スタートアップエコシステムとはいえ、スタートアップや起業家の卵たち、投資家だけではインドの旧態依然とした農業等の市場は正直動かない。特に農業は州政府の重要事項でもあり、政府の影響は極めて大きい。さらにそれらの農産物を買うバイヤーにもなり得る食品企業も巨大であり、こういったコーポレートの与える影響も大きい。

「インナーサークル」に入れるかどうか

 スタートアップのみならず従来の常識を常識とするコーポレートや政府の役人、さらに新しいことにチャレンジしようとするスタートアップ、と異なる視点を持つ人たちをユナイトしていく必要がある。さらに今までは「当たり前」と思っていたことを疑い、脳みそをひねくり返して自らがこれだと思う道を自分で考える必要がある。

 さらに大事なのは、どんな産業であれ、それらの「インナーサークル」に入れるかどうか、である。インナーサークルに入ることで優先的にいい情報やいいネットワークが手に入る。外部から指をくわえて見ているだけでは、そのインナーサークルに入ることはできない。まずは出張であれ何であれ、インドの市場に身を投じることだ。そして、日本人だけでつるむのではなく、インドの地場のキーマンとのネットワークを築くべきだ。

 とはいえ単に、表敬訪問だけでは誰も相手にしてくれない。自分たちがどのようなベネフィットをどういった人たちに提供できるのか、まずは兎にも角にも彼らにベネフィットを徹底的に提供することを考えるべきだ。どれだけ待たされようが、どれだけ屁理屈を言われようが、まずは認められること。インドビジネスはある意味で、気力+体力+時の運。何があろうが怒ってもやさぐれてもいかんわけで、元も子もないが何をしてもダメなときはダメ。それでもまずは弱者の立場から初めて認められるポジションへ昇華できるかがカギだと常々思っている。

 新産業を育成するとか、スタートアップをチャレンジするというのは単年で結果が出るようなそんな簡単な世界でもない。日本企業側もこういった新しい企業の力を使って何を実現したいのか、目的や目標を明確にする必要もある。日本でも大企業とスタートアップの連携プロジェクトで大企業の目的の不明瞭さやプロセスの不透明さ等を指摘する声があるが、インドでも同じだ。目的やプロセスを明確にしつつ、トライ&エラーを繰り返していくことが大事だ。

Gastrotopeのフードイベント。「食」を通じて農産物等の素材についても考えてもらうきっかけをつくる(バンガロール)
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