ある意味で2016年はインドにとっては大きな転換期だったといえるだろう。 政府が突如高額紙幣を廃止し、デジタル・クレジットへの道筋を作り、フィンテック市場の大きな波を作った。デジタル決済が気軽にできるようになることで、少額決済をするための手法も整備されつつある。

 さらにJioの登場により、インターネットアクセスがより一般化した。2ギガのデータが150円ほどで手に入ることを考えれば、動画アクセスへの心理的ハードルも劇的に下がる。そこに元々の流れとしてあったスマホの低価格化や様々なネットサービスの登場といったものが相まって、この数年で急激にインドのデジタル化が促進されることになった。

 娯楽という側面を見ても同じことがいえるだろう。インドではもともとテレビが非常に大事な娯楽であり、平日の帰宅後や 土日は家族で集まってみんなでテレビを見るというのが一つの価値観であった。

 最近では、ネットフリックスやAmazonビデオが都市部を中心に大規模なプロモーションをしている。 YouTubeやFacebook を介したショートビデオなどは、すでにインドの人たちの暇な時間を潰す大きなツールとなっている。YouTubeの月間ユーザーは2憶5000万を超えた。必ずしもテレビがすべてのメディアの中心ではなくなってしまっているのだ。

広がる「ハレの日消費」

 さらに最近のインドの都市部の生活は、極端な話、外に出なくても相応の生活が成り立つ。渋滞が激しく、駐車場を探すのも大変で、夏は暑く、 ひとたび雨が降れば道路がぐちゃぐちゃになる。そんなところでは、できることなら外出したくない。引き籠って生活ができるのであれば、それはそれでハッピーなことである。

 最近のインドの都市部では日本以上に引き籠もり生活は簡単で、Amazonやフリップカートといったオンラインショッピングを使えば、わざわざ店に行って在庫がなくてがっかりするようなこともないし、デリーやムンバイといった大都市では翌日には配送されてくる。

オンラインデリバリーの配達員

 野菜や牛乳がなかったとしてもオンラインスーパーを検索して注文すれば最速45分で配達してくれる。 フードデリバリーも盛んで、有名レストランも大多数はデリバリー対応があるし、デリバリー専門のプレーヤーも増えてきている。

 無店舗型の「ゴーストレストラン」のような業態が、インドでは既に複数登場している。特に地価の高いインドの都市部ではリアルのレストランを運営するよりもデリバリーにするほうがニッチなサービスも運営しやすい。さらに、店舗で食べるよりもデリバリーは安い価格帯で勝負している。最近では健康志向を打ち出したデリバリーフードなども出てきている。

 そしてシェアリングエコノミーが使われるようになってくると、サービス提供者のクオリティーも「レイティング」を意識し、変化してきている。以前はドライバーの対応が悪いというような話もしばしば聞かれたが、レイティングの影響もあってか最近では随分と状況は変わっている。