デロイト トーマツ ベンチャーサポートの西山直隆アジア地域統括は、インドや東南アジアのベンチャー企業と日系企業の橋渡しをしている。近年感じるのは、日系企業とインド企業の連携が加速していることだという。今後も多くの日系企業がインドとのビジネスに動き出しそうだ。そこで、連載の初回は、西山氏がインドの有力ベンチャーキャピタルであるブルーム・ベンチャーズにインドを活用するために重要な視点は何かを聞いた。
インドの高成長を支える好循環
インドは若年人口が多く消費拡大が期待できる市場。それを見込んだ海外からの直接投資も増え、さらに成長が続くという好循環が起きている

 筆者はインドベンチャー企業と日本企業との連携を支援している。ここ2~3年で日印連携が急激に増えてきていると感じる。

 例えば、自動車部品のデンソーは、自動運転システム向けディープラーニングとその処理技術を開発する米シンクアイ(ThinCI、米国本社だがインド発ベンチャー)へ共同開発を目的として投資した。日立ハイテクソリューションズ(東京・中央)は、インダストリアルIoT分野のベンチャー、フルーチュラ(flutura)に投資するとともに戦略的パートナーシップを締結した。

 日本企業は「ファーストペンギンになりたがらない」と指摘されているものの、数社の事例が出ると堰を切ったように複数の企業が同時に動き出す傾向がある。まさにイノベーションという観点から日印の連携事例が出てきた今、今後多くの日本企業が動くことが期待される。

 そこで今回は、インドの有力ベンチャーキャピタル(VC)であるブルーム・ベンチャーズにインドの活用方法について聞いた。共同創業者で社外とのリレーションを担当しエコシステム構築に貢献するサンジェイ・ナス氏、共同創業者で投資先企業の成長支援を主に担当するカルティク・レディ氏、ファンドの組成運用を行うCFOのアシッシュ・ファファディア氏に登場していただく。

左から筆者の西山氏、ブルーム・ベンチャーズのサンジェイ・ナス氏、アシッシュ・ファファディア氏、カルティク・レディ氏(写真:菊池一郎、以下同)
ブルーム・ベンチャーズ(Blume Ventures)の概要
 2010年にインドで設立されたVCで、アーリーステージに特化している。総額約9000万ドルのファンドを運営し100社以上のベンチャー企業に投資。投資先企業には既にM&Aによるエグジットが複数ある。米ツイッターによるインドでの初の買収や、インドでのライドシェア大手、オラによる買収なども同社の案件とされる。ブルームは世界中の資金が集まるインドにおいて、VCのトップ3にも選ばれている(その他2社は、セコイア・キャピタルと、アクセルという欧米系VCであり、インドローカルはブルームのみが選出)。

西山:インドで、今後3~5年間に注目すべき領域はどこですか?

サンジェイ:インドでは物理的なインフラ構築に少なくとも5~10年かかってしまいます。デジタルファースト型の経済が台頭することで、物理的インフラの変更が必要ない金融サービス、教育、医療、メディアなどの分野は引き続き、急激に伸びていくと期待しています。

西山:インドにはIT、特にオフショア開発のイメージがあります。最先端の技術、プロダクトを生み出す力についてはどのように見ていますか?