ところがその日、大黒本しめじを香りが引き立つホイル焼きにして売ってごらんと言って様子を見ていたら、客席に行って「今日は大黒本しめじっていう、すごいしめじが手に入ったんです。どうですか」なんて説明しているわけ。それじゃダメだ。

 お客さんにアピールするには、自分たちがなぜその食材をすごいと思ったか――それをシンプルに考えればいい。みんな最初、本しめじを見たときすごく驚いたんだからさ、素直にお客さんにもモノを見せて驚いてもらうのが一番いい方法でしょ。実際、店の子たちが客席に現物を持って行って、「珍しい京丹波の大黒本しめじが手に入ったんですけど、どうですか?」って薦めたらあっと言う間に売り切れたよね。

京丹波の大黒本しめじ。どうすればこれを使ったメニューが飛ぶように売れるのか。「答えは簡単」と宇野氏(写真:ゴスペル/PIXTA)
京丹波の大黒本しめじ。どうすればこれを使ったメニューが飛ぶように売れるのか。「答えは簡単」と宇野氏(写真:ゴスペル/PIXTA)

失敗も店の魅力に変える

 失敗だって、シンプルにお客さんが喜ぶことを考えれば逆に大きなアピールになる。うちのある店で、アルバイトの子がグラスに注いだビールが泡だらけで、お酒の量が少なくなっちゃっていたことがあったんだけどね。その子は、それじゃダメだって気が付かないでお客さんに出していたの。それを見てオレは店のスタッフに「これ、チャンスだぞ!」って耳打ちしてさ。今すぐ、小さなグラスにビールを注いで、「泡が多かったんで、こちらもどうぞ」と言って出したら、お客さん喜んでくれるよってね。その通りに出したら、「うれしい! 私ビール好きだから」って、その女性のお客さんはすごく喜んでくれた。

 ビールを飲みたいと思っているお客さんが、ちゃんと満足できるように考えてあげるのって、別に難しいことじゃないでしょ。オレたちのような居酒屋には、お客さんは複雑なことは求めていない。そのシンプルなニーズをくんで楽しませてあげる。それが、どんな時代でも店を繁盛させる方法。オレはそう思うんだよね。

(構成:大塚千春、編集:日経トップリーダー

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