居酒屋運営、楽コーポレーション(東京・世田谷)の宇野隆史社長は、個人経営の飲食店には大手チェーンにはまねできない知恵があると話す。資本力も人材も豊富な大手に勝つ個人店ならではの強みとは何か。

 少し前、うどんチェーンの「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングスが東京を中心に立ち飲み居酒屋「晩杯屋(ばんぱいや)」の運営会社を買収したとか、大手による個人店らしい雰囲気を持った店の買収が相次いだ。

 晩杯屋は内装に全くお金をかけていなくて、100円~300円台の料理・飲み物がずらりと並ぶ。オレも武蔵小山に最初の店がオープンして以来、何回か行っているけど、すごい店だと思った。マグロのお刺し身やらアジフライやらポテトサラダやらを頼んで1杯飲んで1000円払って200円だか300円だかのお釣りがくる。うちの店がある東京・町田にも晩杯屋があるんだけど、真昼間に店の前を通ると元気なお兄ちゃんが、「今からやってますから!」なんて声をかけてくるんだ。

 どの料理も、技術がなくても出来てあっと言う間に出せるものばかり。お刺し身はあらかじめ皿に盛りつけてラップをかけておき、オーダーが入ったらラップを取ってさっとお客さんに出すという具合。壁面も安い建材を使っているようだけどメニューがところ狭しと張られていて建材なぞ気にならない。こうしたノウハウは、余力がない小さな店からスタートしたからこそ出てきた知恵だと思うんだ。

個人店のノウハウは資金力がない中、絞り出すようにでてきたもの。本当の「飢え」のない大手企業が編み出すのは難しい(写真はイメージ)