新著『たった3品で繁盛店はできる!』が好評の楽コーポレーション(東京・世田谷)宇野隆史社長は、これまで何百人ものスタッフを独立させてきた。中には、開業した店がうまく行かず、楽に戻るメンバーもいるという。しかし、宇野氏は「自分が再び店を持つまでの明確なストーリーを描き、それを演じきることで、必ず立ち直ることができる」と力を込める。

 同じ飲食業界でも、企業に勤める人もいれば、個人店を開いて一国一城の主になる人もいる。企業に勤めれば生活は安定するだろうけど、オレは一度限りの人生なら自分の城で勝負した方が面白いと思う。うちの店から独立した子も、今や何百人を数える。ただ、これだけ独立が増えると、うまくいかずに店をたたむ子も出てくる。でも、それを「人生の失敗」と考えるのは、違うと思うんだ。

 失敗というのは、とても貴重な「財産」だ。その経験は、何物にも代え難い。だってさ、関ヶ原の戦いでなぜ西軍が負けたかなんてことが、繰り返し研究されるわけでしょ。居酒屋だって同じ。何がいけなかったのか、どうすればよかったのか。体験を基にみんなすごく考えるわけじゃない。失敗を糧にして再出発すれば、強い店ができるはずだ。うちの店では、40歳ぐらいまで再出発したいという子を受け入れているんだけどね。その子たちの経験は、これから独立しようとしている若いスタッフにも、すごく勉強になる。

 もちろん、彼らは若いスタッフにとって「先輩」になるわけだから、現場は働きにくかったりするかもしれない。失敗したやつの話には素直に耳を傾けられないかもしれない。現場の気持ちも考えてあげなきゃいけないと思うから、出戻りの子が働く店が決まったら、必ずその店の店長に聞くの。「どう、邪魔してない?」ってね。なかなか本音では話せないかもしれないけど、一言聞くのと聞かないのでは全然気持ちが違うと思うんだ。それで、戻ってきた子には、まずトイレ掃除から始めようよ、って促している。

「店の掃除を徹底することは、繁盛店の基本中の基本」と宇野氏