飲食店の経営指標にFL(エフエル)比率というものがある。F(food)は食材費、L(labor)は人件費で、この2つを足したものを売上高で割った数字のことだ。
オレがよく知っているある店で話していたら、その店の人は一生懸命勉強しているらしく、このFL比率がどうだとかいう話をしてくる。でもさ、経営用語を持ち出してそんな話をしたって急に店のFL比率が下がるわけじゃない。店というのは、日々の営業で、いかにお客さんを楽しませて喜ばせるかということが、すべての基本でしょ。
そもそも小難しい経営用語をこねくりまわすなんてオレの頭ではムリだからさ。店の計画書でもなんでも、若者としゃべっているような言葉でしか書かない。そうすることで、FL比率なんて言葉からは浮かんでこない、お客さんの顔が見え、働いているスタッフの顔が見えてくる。頭の中だけで考えるんじゃなくて、自分自身で感じる。これを営業に生かしていくことが大事だと思うんだよね。
その店に行くと、「今日は人通りが少なくてヒマなんです」なんて話を聞くことがあってさ。「今月は、普段は人で賑わう駅前でも、対前年比が90%ぐらいまで落ち込んでいるんです」なんて言うわけ。周りがそうだから、自分の店がヒマでも当然か、なんて思ってしまっているんだよね。
でも、周りは周り、自分の店とは全く関係ない。だいたい、周りはそうだけど、自分の店は前年比120%売り上げていますっていったら面白いじゃない。数字だけを見るんじゃなくて、そういう面白さを感じることも、店を繁盛させるためには大事だよね。

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