それに、地元なら「今度店を開きます!」なんて学生時代の同級生に開店案内を出せば、来てくれたりするわけでしょ。嫁さんの地元に出店したOBの場合も、しっかりした嫁さんが友達に旦那と店を出しますと手紙を出してくれていてさ。すると、最初はその友達がやってきて、それから友達の旦那が一緒に来るようになって、「いいところができたな」ってすぐ店の「族」ができる。開店当初からファンができるっていうのは、ものすごく大事なことだよね。

横浜市「呑毛笑店 ゑぶり亭゛」の「あさりの紹興酒漬け」。身を箸で取り出しやすいよう、殻を抑えるための洗濯バサミを添えている。お客が連れだって訪れた際には写真のようにさりげなく洗濯バサミを人数分添えて出す。近くに激安で知られる横浜洪福寺松原商店街があり毎日仕入れに行くため、メニューは仕入れ次第。メニュー数を絞り「今日のお薦め」メニューでお客の記憶に残る店を目指す
横浜市「呑毛笑店 ゑぶり亭゛」の「あさりの紹興酒漬け」。身を箸で取り出しやすいよう、殻を抑えるための洗濯バサミを添えている。お客が連れだって訪れた際には写真のようにさりげなく洗濯バサミを人数分添えて出す。近くに激安で知られる横浜洪福寺松原商店街があり毎日仕入れに行くため、メニューは仕入れ次第。メニュー数を絞り「今日のお薦め」メニューでお客の記憶に残る店を目指す

地元のスターが話題店に

 うちのOBで、盛岡で何軒も店をやっている子はさ。昔野球をやっていて、ピッチャーで地元ではスターだったわけ。うちにいたときは目端が利く感じの子ではなかったんだけど、地元に行ったら「あいつが店を開いたのか」ってすごく話題になってさ。最初の店のオープン時から地元の人がたくさん店に来てくれたらしい。

 それに地方にはさ、親の面倒を見るためなどで東京から戻ってきた子がたくさんいるわけでしょ。みんな東京にいるときは六本木や原宿なんかで遊んでいるから、地方でもそうしたにおいがする店を探す。だから、少し東京のにおいがする店を出すとお客さんが喜んでくれる。東京で積んできたノウハウが、生きるんだよね。それに、地方って働く場所がないから、東京より働き手が集まりやすいでしょ。今の時代、地方に出店するっていうのは本当にいい選択肢だな、ってオレは思うんだよね。

(構成:大塚千春、編集:日経トップリーダー

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