金髪がトレードマーク

 この間は面白い若者の店に出合った。町田にある「六九和(ろくわ)」という店で、和食とロックをテーマにした店だ。店主は奈良の老舗料亭で修業してきた若者。卵焼きなんてあっという間に作ってくれてしまうような腕があるが、BGMはロックなの。腕があっても、町田という大きな街の中ではただの和食店だったら競争が厳しい。そこで店主夫婦が好きなロックを店のテーマにしようと考えたそうだ。ロックという言葉に引かれて入店してみたら本格的な和食が出てきたといったら、お客さんの記憶に残りやすいからだ。
 6月には、開店1周年記念に大きな市の施設を借りて落語と三味線のイベントを開いた。それだけ店にお客さんが付いてるってことだよね。店主の髪はロックな金髪。街を歩いていても「あ、『六九和』の大将が歩いてる」って気づいてもらえるように考えてのことだと言う。そうやって頑張っている店と出会うと、自分もエネルギーをもらえる。

<b>東京・町田の和食店「六九和」。本格和食とロックがテーマ(左)。老舗旅館で修業した店の大将は金髪がトレードマーク(右)</b>
東京・町田の和食店「六九和」。本格和食とロックがテーマ(左)。老舗旅館で修業した店の大将は金髪がトレードマーク(右)

 年を取るとエネルギーがなくなるものかなと思うけど、飲食業界はいつだって夢いっぱいの若者にあふれていて、彼らからエネルギーをもらっている。うちのかみさんも、ちょっと前まで「もう、仕事はいいんじゃない?」なんて言っていたが、最近では、うちの店から独立したヤツがいい店を作ったりすると「おとうさん、何をしてるの!」とはっぱをかけられる。オレも、いい店を見れば見るほど、「オレだって負けないぞ」という気持ちが湧いてくる。そして、心底、仕事が楽しいって思えるんだ。

(構成:大塚千春、編集:日経トップリーダー

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