お酒を売るのでもさ。オレたちのような居酒屋だったら、ラインアップにすごくこだわって頭をひねるより、簡単で売りやすい方法を考えた方がいいんじゃないかと思うの。例えば、1杯500円だけど、2杯目は450円、3杯目は400円とかメニューに書いてあったら、お客さんに「おっ、いいね」って思ってもらえたりする。日本酒なんかで、「100種類そろえています」なんて店もあるけど、日本酒専門店ではないオレたちみたいな居酒屋では種類をそろえる必要はない。「今日はこれ飲んでみて」ってお客さんに勧められるお酒があればいいんだよね。

カウンターの向こうには炭火焼きのための囲炉裏(いろり)が設けられ、ライブ感のある作り。店内は落ち着いた雰囲気で、お客をくつろがせる。写真中央が池谷氏
カウンターの向こうには炭火焼きのための囲炉裏(いろり)が設けられ、ライブ感のある作り。店内は落ち着いた雰囲気で、お客をくつろがせる。写真中央が池谷氏

また来られる安堵感こそ大事

 地方にあるうちのOBの店は、うちで覚えたことや繁盛しているOBの店から得たアイデアを忠実に店にしたような居酒屋でね。駅から少し距離がある立地なんだけど、よくお客さんが入っているの。強い個性が感じられる店ではないけど、店主の顔がちゃんと見える、温かい接客ができているんだろうね。長く続く繁盛店っていうのは、際立つ必要はない。お客さんがまた気楽に来られるなっていう安堵感こそが大事だと思う。

 よくオレはさ。1軒目は、自分がやりたいことより、ちゃんと儲けを出せる店をやろうよって話すんだ。お客さんが来たい店を作って、それで、1軒目をちゃんと繁盛させてから、2軒目、3軒目で自分の「個性」を形にしていけばいい。オレはそう思うんだよね。

(構成:大塚千春、編集:日経トップリーダー