ピーク時は売上高が65億円を超えた創業50年のスポーツ用品店運営会社、アート・スポーツ。テニスや自転車のブームが去り、売り上げが低迷。ブームを狙った出店の負債が重荷となり、資金がショートした。(この記事は、「日経トップリーダー」2017年7月号に掲載した記事を再編集したものです。肩書は掲載当時のものです)
東京・渋谷駅近くにあったアート・スポーツ渋谷店。破産手続き開始後の閉店セールは常連客などでにぎわった

 2017年4月初め、スポーツ用品店運営のアート・スポーツ(東京・台東、以下アート)から、ICI石井スポーツ(東京・新宿、以下石井)に緊急連絡が入った。

 「今のままでは、4月末で資金繰りがショートしそうです」

 石井は、13年秋からアートと業務提携し、社員を出向させるとともに、複数回にわたる融資や仕入れの代行など、合計2億数千万円の資金援助をした。これにより、アートは滞りなく経営ができていると見ていただけに、石井側には寝耳に水だった。

上野の本店。破産申請後の2017年5月12日、石井への事業譲渡が終わり、同日夕方から営業を再開した
同店のポイントカード。根強いファンが多かった

 アートは17年5月9日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は15億8800万円(東京商工リサーチ)。

 アートは、1967年にスポーツ好きだった木村正男社長が個人で創業。69年に法人化した。学園紛争が落ち着き、サークル活動が華やかになった大学生のニーズなどをうまく捉えて成長した。

 77年、ランニング用品などの品ぞろえが充実した東京・上野の本店をオープン。86年に渋谷店、87年にアウトドア(登山、自転車、ダイビング)に特化した上野のODBOX(オーディーボックス)本店を開くなど、積極的に出店を続けた。ピーク時の92年2月期には都内を中心に約15店を構え、65億9000万円を売り上げた。