ピザ1枚90秒で提供

 遠藤商事は11年5月の設立。イタリア料理店などで経験を積んだ遠藤社長が、コンサルティングをするはずだったオープン前のイタリア料理店の運営を任せられたのが起業のきっかけ。これが東京・吉祥寺の1号店「ピッツェリア バール ナポリ」だ。ピザのほか、肉や魚の料理もある客単価3000円程度のイタリア料理店で、この店をモデルに多店舗化を始める。

 「ナポリ」業態の成功を足がかりに、遠藤商事は駅前の一等地でファストフード需要を狙うピザ店「ナポリス ピッツァ アンド カフェ」を開発し、FC展開を積極化した。12年4月、「マルゲリータ1枚350円」を打ち出して東京・渋谷に1号店を出すと女性客が殺到。同年8月には、他社と共同で「ナポリス」100店を目指すFC運営会社を設立した。

東京・目黒のマンション1階にあった遠藤商事本社。破産申請当日には債権者が集まった

 積極出店の武器となったのが、誰でもピザがうまく焼けるという窯や生地伸ばし機のセット。アルバイトでも1枚90秒で本格ピザを提供できるコック不要の店を訴求した。この仕組みが評価され、遠藤商事は15年、16年と相次いで、飲食業界を変える優れたベンチャー企業として表彰を受けた。業界の枠を超えて注目企業になった。

人材育成が追いつかない

 しかし、スポットライトが当たる陰で、急成長による歪みが生まれていた。複数のFC店オーナーが「倒産の最大の要因は、出店のスピードが速すぎたことだ」と口をそろえる。

 一般に、FC展開をする本部はそのノウハウをFC加盟店に提供してロイヤルティーを得る代わり、マニュアルや教育の仕組みを整え、スーパーバイザー(SV)の社員が定期的に担当の店を回って店の運営をフォローする。

 遠藤商事は、こうしたFC店を支援する仕組みが店舗拡大を急ぐためにおろそかになった。「普通なら営業前の何日かは教育研修があるものだが、遠藤商事は『うちでしばらく人を出しますから、すぐ店をやりましょう』と出店を進めることが多かった」とあるFC店オーナーは振り返る。