結局、次の方向性を打ち出せず、新しい海外ブランドを見つけ、それを百貨店に卸すというモデルは最後まで変わらなかった。

 その背景には、社内に若手社員が少なかったこともある。海外ブランドの日本法人に引き抜かれた上、財務改革の過程で人員を減らしたからだ。社内は、古き良き時代を知るベテラン社員ばかりになっていたという。

展示会の集客力が低下

 ここ数年は、より安い賃料を求めて本社移転を繰り返すなど、コスト削減でどうにかしのいでいた。そんな苦しい最中も、1975年から始めた展示会「秀宝展」は毎年続けていた。百貨店の売り場にリーフレットを置くなどして集客に努めていたが、2016年の来場者数は前年に比べて激減。これは、同社にとって大きなショックだったという。

 自力再建は困難と諦めて、スポンサー探しに走ったが見つからず、自己破産に至った。

 バブル崩壊から始まった高額宝飾品市場の縮小。「当初はその波がいつか収まり、自社の事業モデルが再び求められる時代が来ると、平和堂貿易の人たちは思っていたのではないか。しかし、動き出した波は止まらなかった」(取引先)。

 社名と商品をセットで売るなど、新しい策をどんどん打ち出して市場を開拓した創業者。その精神に立ち戻ることが、早い段階で必要だったのではないか。

(この記事は、「日経トップリーダー」2016年11月号に掲載した記事を再構成したものです)

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【主な内容】
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■破綻の定石1 脚光を浴びるも、内実が伴わない
■破綻の定石2 幸運なヒットが、災いを呼ぶ ほか
第2章 ビジネスモデルが陳腐化したときの分かれ道
■破綻の定石4 世代交代できず、老舗が力尽きる
■破綻の定石5 起死回生を狙った一手が、仇に ほか
第3章 リスク管理の甘さはいつでも命取りになる
■破綻の定石8 売れてもキャッシュが残らない
■破綻の定石9 1社依存の恐ろしさ ほか
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