2007年に中国で「ひんやりジェルマット」の製造を始め、翌年には日本での販売を開始。そして韓国や米国にも販路を広げていく。国内では、ディスカウントストアやカタログ、インターネットなどの通信販売を主な販路とした。
売り上げが2倍の40億に
転機になったのは、2011年。前述したように東日本大震災の影響で、消費者が冷感寝具を求めるようになったのだ。「ひんやりジェルマット」の売り上げは大幅に増加。これに伴い、ヒラカワコーポレーションの2012年1月期の売上高は42億5400万円と、2011年1月期の約20億円に比べ2倍以上になった。
一方で2011年から同社は、積極的な設備投資を行う。1つは、福島県白河市内の工業団地に土地と工場を購入したこと。工場、倉庫、事務所など合わせて5000平方メートルを大きく超える不動産の取得に伴い、同社は1億5000万円の根抵当権を設定している。
また、東京・日本橋にあった本社を移転し、近隣に5階建てのビルを購入した。こちらには3億1300万円の根抵当権を設定しており、多額の設備投資をしたとみられる。
続いて2012年には、千葉県浦安市に倉庫と配送センターを建設。翌年には、同じ浦安市内にショールームもオープン、販路拡大を狙って法人向けに寝具・インテリア商品を展示し始めた。
その後、ヒラカワコーポレーションの売上高は、2013年1月期約32億円、2014年1月期約41億円と増減しながら、2015年1月期には54億1600万円と50億円の大台に乗る。ただし、この期の当期利益は1500万円あまりで「ひんやりジェルマット」がヒットした2012年1月期以降、1000万円台のままほとんど増えていない。
利益よりも売上高を重視したと見られる背景には、金融機関の意向があったようだ。
この頃には、節電意識の落ち着きと需要の一巡が重なって、「ひんやりジェルマット」で大きく稼ぐのは難しくなっていたと見られる。そんな中で売り上げの維持が求められ、同社は利幅の薄い寝具小物や雑貨に力を入れるようになったという。
特許侵害指摘で伸び悩み
ただ、手をこまぬいてはいなかった。次なる新商品「アイダーウォームス」を開発し、市場に投入したのだ。これは羽毛に似せた軽くて暖かい新素材のこと。同社はこれを利用した寝具を売り出した。
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