経営破綻前、愛媛県中小企業再生支援協議会の再生案件に採択され、そこから派遣された経営コンサルタントの方にテラマチの再生計画をつくってもらったことがあります。そのときの指摘に、私は心底びっくりしました。

 船舶用のボルト、産業機械向けのシャフト、そして歯車が最も利益が出ているというのです。それらはてっきり赤字だと思っていました。例えば他社が単価1000円で納品していたボルトを、うちでは700円で出していた。そこまで価格を下げたら赤字だろうと勝手に思い込んでいたのです。

 しかし、そうした部品はいずれも祖父の頃から手掛けているもの。自家製の設備に工夫を重ね、省人化・高速化が進んでいました。他社より格段に安い値段で売っても、まだ十分な利益が出ていたのです。なぜそんな誤解をしていたかというと、製品ごとに原価管理をしていなかったからです。

 収支は顧客ごとに管理するだけでした。「A社には、今月これだけの売り上げと原価がかかった」という程度です。A社に納めている部品のうち、どれが利益に貢献しているのかは算出しなかった。総原価もざっくり計算したもので正確かどうかはあやしい。

稼ぐ商品に絞っていれば

 今から思えば、なぜきちんと原価管理をしなかったのかと思いますが、当時はその程度の経営でもお金が回っていた。そして恥の上塗りをするようですが、20億円の借金を返済するには、細かく原価管理をするよりも、売り上げが稼げる仕事を取ってくるほうがいいと考えていたのです。