放漫経営の破綻は減少

確かに、放漫経営による破綻というのは聞かなくなったね。

久保:破綻しても反省の色がない経営者もいますが、大抵は経営に真剣です。経営者の自宅を訪ねて、取材を頼むこともありますが、飛び抜けて華美な家に住んでいる人はあまり見かけません。

井上:破綻の責任の一端は、貸し手の金融機関などにもあると思う。トップが真面目過ぎて全責任を一人で抱え込み、生きるか死ぬかというところまで自分を追い込む必要はない。そこは切に訴えたい。

今後はどのような破綻が増えるだろう。例えば「人手不足倒産」はどうですか。

井上:よく言われる言葉ですが、目にしたことはない。経営判断のミス、遅れが積み重なって会社は体力を奪われる。人手不足が、経営難に陥った企業に追い打ちをかけることはあっても、それが主因の倒産は少ないでしょう。

 16年度の上場企業の倒産は26年ぶりにゼロでした。けれど、破綻一歩手前の中小企業はたくさんあると思います。人手不足がきっかけで、破綻する企業は今後増えてくるかもしれません。

人手不足と景気変動

宮坂:トランプ米大統領の保護主義政策やブレグジット(英国のEU離脱)の影響は、正直読みきれない。突発的な環境変化による中小企業の破綻も増えてくるかもしれない。

井上:釣り竿メーカーのエム・オン(15年6月自己破産)は「キティちゃん」のキャラクター入りの商品を作るなど、業界では女性客の取り込みで先頭を走るユニークな企業として知られていた。しかし円安によるコスト上昇が致命傷になった。為替変動のリスクをどう想定し、それに耐えられる財務になっているか、経営者は緻密な戦略が問われてくるでしょう。

急激な円安が〝致命傷〟に
エム・オン
エム・オン
 業歴60年超の老舗釣り具メーカーのエム・オン(山口県柳井市)。業界に先駆けた中国への工場進出や、「キティちゃん」の絵柄入りの釣り竿による女性市場の開拓など、積極的な事業展開で注目を集めた。だが、急激な円安によるコスト上昇が直接のきっかけになり、15年6月に破産に追い込まれた。

久保:景気変動に耐えるカギは、財務管理能力に加えて、顧客接点だと思う。最終ユーザーのニーズの変化をつかみきれず、破綻した例は多い。迅速にニーズをつかめる体制をつくれば、耐久力は強くなるはずだ。

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