千奈美専務の改革は、商品アイテム数の削減にとどまらなかった。社員の働き方にまで及んだ。

 社内横断的なプロジェクトチームによる商品企画や、業務改善活動を強化。加えて総合職社員は全員、2年ごとに配置転換すると決めた。同じ部署に長くいると従来のやり方に固執し、改革が進まないと考えたからだ。

 社員は猛反発した。「専務がわけの分からないことを始めた」と、カリスマの前会長、悦子氏に直訴することもしばしば。千奈美専務は、たびたび悦子氏に呼び出されたが諦めなかった。

 数年続けると成果が上がり始めた。商品アイテム数を減らした代わりに投入した、国産素材にこだわった商品が次々にヒット。業務改善活動からは、社員発案のIT(情報技術)導入といった成功事例が生まれ、自信を付けた社員たちが主体的に仕事に取り組むようになった。

売り上げを捨てて連続増収増益

 改革に着手したとき、千奈美専務も、真田社長も「売り上げは下がっていい」と覚悟した。

 しかし、一連の改革の効果で13年12月期に売上高は反転。2期連続で増収増益を記録している。

 「自分自身の『ありたい姿』をはっきりと見定めたときから、名実ともに経営陣の一員になれた」と、千奈美専務は振り返る。14年から、直営店などを手掛ける関連会社、京山城屋(京都市)の社長を務める。「次の大仕事は事業承継。1000年企業の礎の役割を全うする」覚悟だ。

山城屋の歴代代表とその妻