例えば、あるスタッフは、12台あった社用車それぞれの走行距離と給油量を記録するのに毎月2時間使っていた。

 なぜか。

 柴田社長は「おそらく自分が指示したのだろう。原油価格が高騰した時期に、社用車の燃費が気になったことがあった」と、思い出した。だが、その記憶すらおぼろげ。長年にわたり粛々と記録されてきたそのデータを見る人は皆無だった。

 このような隠れた無駄を発掘するうち、スタッフの意識が変わっていった。

 「この業務は何のために行うのか」を考え、「もっと効果的な方法はないか」と模索する姿勢が芽生えた。例えば、「封入作業について2通りの方法を試した結果、1人よりも2人でやるほうが速いことが分かった。今後、2人1組で行おう」といった業務改善の提案が、時間を記録したシートのコメント欄に目立つようになった。

社長の手書きコメントで加速

 柴田社長は毎日すべてのシートに目を通し、「いい意見ですね」「ありがとう」といったフィードバックを手書きで返した。

 「実際に読んで感激した。新しい発見の連続だった」

 社長直筆のコメントで、スタッフのモチベーションが向上。業務改善の提案が加速度的に増え、1カ月で40~50個ほど集まった。

 業務効率が上がり、以前は頻繁にあった、事務方からの増員の要請がなくなった。それどころか、20人いた事務スタッフを2人削減。そのうちの1人は、その後、営業部門で活躍している。時間を有効に使う意識が全社に広がり、経常利益はV字回復していった。

「時間の記録」を実践したシート。手書きの文字は、柴田社長のコメント