そこには目からウロコが落ちるような驚きが待っていた。

 ドラッカーの主張はすべてにおいて、今までの自分と正反対だった。

 例えば「強みを生かせ」とドラッカーは説くが、自分は社員の弱点を直そうとばかりしていた。「利益は、目的ではなく条件なのだ」という指摘も衝撃的だった。しかも、それぞれの論拠に説得力がある。

 「ドラッカー教授に従えば、自社の減益は当然の結果だ」と納得した。

 その後、14年と15年に、課長職以上の管理職全員に、自分が受けたものと同じドラッカーのセミナーを受けさせた。

 「社長が本気にならなければ、会社は変わらない。だが、社長1人でできる改革には限界がある。本気で会社を変えるには、社員を巻き込まなくては」と考えたからだ。

 社長のその思いが、ある管理職を動かした。

10分単位で「エクセル」に記録

 総務財務部の矢野美保部長は、セミナーを受けた後、事務方を担う部署のスタッフ全員に「時間の記録」をさせたいと社長に申し出た。1日の業務時間のうち、どんな仕事にどれだけの時間を使ったかを、逐一記録させたいという。

 この提案はドラッカーに基づく。ドラッカーは『経営者の条件』に「汝の時間を知れ」と題した1章を設け、時間管理の重要性を説いている。さらに時間管理の前提として、「時間の記録」をすることを強く勧める。

 柴田社長は、矢野部長の提案にゴーサインを出した。「事務方の仕事は、社長にとって“ブラックボックス”。それまで現場に求められるままに増員してきたが、腑に落ちないところがあった。これを機に“見える化”しよう」と考えた。

ウイッツコミュニティの柴田社長(左)と総務財務部の矢野部長

 15年4月に計測を開始。合計20人のスタッフが1カ月間、毎日、その日の業務内容と使った時間を10分単位で表計算ソフト「エクセル」に入力した。それを終業後に振り返り、コメントを記入。上司がチェックした後、記録シートが柴田社長に届く仕組みにした。

 すると驚くような無駄が次々に明らかになった。