瀧野専務は、利益は目的でなく、条件だと捉え直した。

 新しい方針を社員に示すために08年、会社のスローガンを定め、「利益は幸せの継続のため」とした。

 このときから、経営スタイルが大きく変わった。まず、売上や利益などの経営数値を社員に公開した。1年の目標と計画は、役員や部門長と合宿会議を開いて定め、利益が上がったときの使い道まで議論した。

 「利益が目的ならば、利益は多いほどいいだけで、使途には無頓着でいい。けれど、利益は条件に過ぎないとなると、目的にかなった使い方をする必要がある。だから、お客様や地域の人たちを幸せにする利益の使い方を一緒に考えた」

 そのなかで生まれたのが、法人顧客である地元ホテルの集客に協力するといった、地域密着型のアプローチだ(前回 参照)。

社員の笑顔が、経営の活力

 利益を軽視するわけではない。利益がなくては、お客様や地域を幸せにする活動はできない。そのことを社員も理解しているから、利益目標の達成に向けてまい進する。

 スローガンを定めてから利益はむしろ増えた。1.2%だった経常利益率が10%近くに伸びた。瀧野専務の体の不調も収まった。

 何より変わったのは、社内の空気だ。瀧野専務が大事にしている2枚の写真がある(下)。どちらも社員旅行の集合写真だが、1枚はスローガンを定める前年で、皆、表情が硬い。もう1枚は、その2年後。和気あいあいとしたムードが漂う。

 「今はちょっとした指示にも、社員が笑顔で応えてくれる。経営が心底、楽しくなった」と話す。