無料で温泉を楽しめるとあって、個人客には大好評だった。「ツアーに参加したいという理由で、新たに会員になる人までいた。ここまでの反響は想定外だった」と瀧野専務は話す。

 そもそも目的は、あくまでホテルの顧客を増やすこと。実際、無料日帰りツアーに参加した後、宿泊に訪れた個人客も現れ、客室稼働率の改善につながった。

顧客が値上げを切り出す

 すると、それまではホテルから頻繁にあった値下げ要求がなくなった。それどころか、「このごろのインフレで、おたくも大変でしょう。値上げしましょうか」と切り出された。

「われわれの事業は何であるべきか」というドラッカーの問いに今、瀧野専務はこう答える。

 「『BtoB』でも『BtoC』でもない。地域の企業同士が連携して、地域住民の喜びを生み出す『(B+B)toC』という構造を目指す。そうすれば、顧客と利益を奪い合う対立関係が解消し、協働するパートナーになれる」