工夫はまだまだある。ベッドのヘッドボードやデスク、本棚などをよく見ると角が丸く、曲線になっている。これもほこりがたまりにくくするアイデアだ。

上下で分かれている壁紙。家具などの角はすべて曲線
上下で分かれている壁紙。家具などの角はすべて曲線

 創業者の西田憲正氏は電気工事業からスタート。グループ会社で建築から内装まで手掛けるから、細かい点にまでよく気がつくというわけだ。

 黒田麻衣子社長は、父である西田氏から「客室稼働率を上げるために何をしたらいいか分からなかったら、とにかく客室を磨いておけ、と言われた」という。

支配人を女性に交代したら客室稼働率が上昇

 創業時、ホテル経営に関して全く経験がなかった西田氏は、店舗をどう運営したらいいのか、どうやって人をもてなせばいいのか分からなかった。本業の電気工事会社の社員には適任者がいない。だったら誰か信頼のおける人に任せようと考え、白羽の矢を立てたのが、行きつけの店のママだった。

 当時、50代半ばのママが「店を閉めて引退する」と言い出した。そこで「ビジネスホテルの支配人をやってみない?」と声をかけたところ、二つ返事で引き受けてくれた。もちろんママにはホテルでの勤務経験はない。

 こうして支配人を務めるママのほか、女性スタッフ2人、男性スタッフ2人で営業を始めたところ、これがうまくいった。

 いわば偶然の産物だったものの、「接客が丁寧でいい」「きめこまやかな心配りがうれしかった」と次第に評判を呼び、稼働率がどんどん上がっていった。

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