「客室数日本一」「会員数450万人」のビジネスホテルチェーン、東横イン。「ビジネスマンの味方」として多くの出張者らが利用するホテルになった。その東横インに対する疑問は尽きない。「なぜ、従来にはないビジネスモデルを構築できたのか?」「なぜ、リーズナブルな価格で提供できるのか?」「なぜ、ビジネスマンから支持されるのか?」「なぜ、客室数日本一のホテルになるまで成長できたのか?」「なぜ、二度にわたる不祥事の後、そのまま沈んでしまわなかったのか?」――。同社の歴史を振り返りながら、その答えを探ってみよう。

 駅前の好立地、いつも変わらないリーズナブルな価格設定。女性スタッフが中心となりホテルを運営し、清潔な客室、こまやかなサービスを提供する──。

 それが東横インだ。

国内外に266店、総客室数は5万室を超える。国内のホテル運営会社としては最大

 最近、あるテレビ番組で東横インを紹介していた。その中で「業界で初めて小型冷蔵庫を設置した」と話していたが、少し違う。正しくは「飲み物などが何も入っていない空の冷蔵庫」を業界に先駆けて設置した、である。

 今やあまり見かけることがなくなったが、かつてホテルの客室の冷蔵庫には、宿泊客用に飲み物があらかじめ冷やされた状態で入っているのが一般的だった。ほとんどが有料で、市価より高い値段が設定されていることが多かった。そんな業界の当たり前をやめたのが東横インだったわけだ。

 宿泊で利益を出すのが東横インの方針。客室料金以外で儲けようと考えていない。だから冷蔵庫に割高の飲料を置かず、常に空の状態だ。運営面でいうと、冷蔵庫に清涼飲料やアルコール類を入れると、賞味期限のチェックなど管理に手間がかかる。創業当時、人手が足りなかったことから従業員の手間を省くため、という理由もあった。

 このように、東横インはこれまで宿泊客の立場でさまざまなサービスの充実を図ってきた(詳細は次回以降、詳しく紹介する)。客室に個別のエアコンを付けたり、無料朝食サービスを始めたり、すべての客室でインターネットが使えるようにしたり……。

 いずれも東横インが業界では真っ先に取り組んだことだが、今ではそれがビジネスホテルのスタンダードになっている。