社員を質問攻め

 知らんことはさっさと素直に聞いたら得なんですわ。今の子たちはみんな大学を出ているでしょ。だから僕より頭がええんですわ。膝から下のことは僕のほうが詳しいか知らんけどね。僕は困ったことがあったら、すぐに社員に聞きに行くよ。新入社員でもおかまいなし。そうやって社員をよく質問攻めにしているんです。

 僕が聞いたことに対して「いいえ、知りません」と言ってみ、「なんやて、お前は大学を出ているのに、こんなことも知らんのか」と怒りまくります。「会長は知ってて聞いているのですか」と返されたら、「知っとったら聞くかボケ」と言いまんねん。

 ある社員が「越智会長はどういう人ですか」と聞かれて、「はい、この人は自分では何もできませんが、人のことはぼろくそに言う人です」と答えていましたわ。人の上に立つ者が何でも知っている必要はありません。優秀な社員を抱えていればいい。分からないことは聞けばいいのです。

 
店頭には色とりどりの靴下がずらりと並ぶ

 分からないことはどんどん人に聞けばいいし、苦手なことは得意な人に教えてもらえばいい。

 タビオが創業した頃、紳士物靴下市場は大手メーカーがかなりのシェアを押さえていました。これに対し、当時まだ市場規模が小さかった婦人物には大手があまり力を入れておらず、参入企業は中小メーカーや問屋が中心。婦人物だからと、品質よりデザインを重視するメーカーがほとんどでした。

 僕は自分のところの靴下の品質に絶対の自信がありましたから、この市場に懸けた。おかげさまで気付いたら婦人物靴下のトップブランドになっていました。

 最初に僕が婦人物に転身しますと言ったら、みんなが「越智さんに婦人物ができるんかい」と笑いましたよ。僕がファッション音痴なのを知っとったからね。
 にもかかわらず、なぜうちがトップになれたのか。