売り手市場で社員の採用に悩む企業は多い。他社と差をつけ、優秀な人材を獲得するために必要なのが、説明会やセミナーなどで自社を「カッコよく」見せるためのブランディングだ。ブランド戦略のコンサルタント・村尾隆介氏は独自のブランディング手法で中小企業の採用をバックアップしてきた。
今回、電気商社の電巧社(東京・港)と設備工事会社のセイフル(埼玉県深谷市)が村尾氏のプレゼン特訓に参戦。業種も会社のカラーも全く違う2社が、本番さながらの採用プレゼンを繰り広げる。村尾氏から高評価を得たのはどちらの会社だろうか。
都内の某会議室に、採用プレゼンの発表会に挑む2社が集まった。村尾隆介氏の採用強化プログラムでは、入社2~3年の若手社員を中心に、各部署から5~7人のリクルートチームを結成する。彼らが1年間、就職セミナーなどで学生たちに向けてプレゼンを実施する。
本来の仕事をしながら採用業務を担当するのは大変だが、この活動を通し、改めて自社の魅力を見つめ直したり、他部署の業務を理解したりすることで、メンバーたちは確実に成長していると村尾氏は感じている。さらに、その個人の成長が、組織の成長へとつながっている。
2社が採用のための学生向けプレゼンでバトル
通常のプレゼン特訓は1社ずつ実施するが、今回村尾氏は、あえて2社を呼んだ。お互いのプレゼンから学び合うためだ。このプレゼン大会では、4~5人からなる両社のリクルートチームが1人約5分ずつでプレゼンし、本番同様の質疑応答も実施した後、村尾氏が総括する流れだ。

中小企業のブランド力向上を手助けしているコンサルタント。スターブランド社の共同経営者・フロントマン。14歳で単身渡米し、ネバダ州立大学教養学部政治学科を卒業後、本田技研工業に入社。退社後、食品の輸入販売ビジネスで起業。事業売却を経て現職。その成功ノウハウを中小企業に提供している。日本に中小企業のブランディングブームを起こした第一人者だ。『今より高く売る!小さな会社のブランドづくり』(日経BP社)など著書多数。日経BP総研 中堅・中小企業ラボ・客員研究員として、すごサイ(すごい採用プロジェクト)を監修する。
それでは、改めて、プレゼンに挑む2社を紹介しよう。
1社目は、電気商社の電巧社。1928年に創業し、今年で90年。従業員は224人。東芝製品を中心に拡販を担う商社機能と、配電盤製造をはじめとする電気設備のメーカー機能という2つの領域の事業で成長を続けてきた。社員が働きやすい環境づくりにも力を入れており、ホワイト企業大賞企画委員会が主催する「ホワイト企業大賞」の推進賞を受賞している。同社は長く新卒採用を続けており、村尾氏がサポートするのは、今回で3期目となる。
経験値の高い電巧社に対抗するのは、設備工事会社のセイフル。1951年創業で、従業員は40人。官民の事業所での給排水設備や冷暖房空調設備の工事に携わっている。高齢化や人材不足に悩む建設業界において、セイフルは売り上げも従業員数も右肩上がり。社員の年齢も10代から70代まで幅広く、平均年齢は下がっているという。今回初めて、新卒採用のためのリクルートチームをつくり、村尾氏の指導を受ける。
「2社とも、一緒に学び、成長しましょう!」と村尾氏が呼び掛け、プレゼンバトルが始まった。それぞれどんなプレゼンを見せてくれるのだろうか。
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