注文を誘うメニューの組み立て方

 品数がなくても、あそこに行けば絶対あれ食べなきゃ、という料理があればいい。オレはさ、店の一番メインになる料理は少し単価が高くて多少時間がかかるものがいいと思うの。1品1500~2000円ぐらいの値段でさ。うちから独立したある子の店では、鮮魚の炭火焼きを看板にしていて、季節によるけどカマスとかノドグロに1000円台半ばとか2000円台ぐらいの値段を付けている。こうすると客単価がぽんっと上がるんだよね。

 都内の人気イタリアンに行ったときは、看板料理の肉の炭火焼きが2000円ぐらいの値付けで「ご提供までに30分ぐらいかかります」って最初に説明されてね。それで、「こちらの料理はすぐ出せます」と見せられたメニューが手頃な値付けですごく魅力的だったの。それで、ハウスワインのデキャンタが2000円ぐらいであってさ。つまみがあって、頼みやすい値段のワインがあったら、待っている間にお客さんは気持ちよく飲んで食べちゃうよね。メインの料理が運ばれてくる頃にはほどよく酔っているから、もう少し飲んで、もう1品頼もうかなんてことになる。メニューの値段にはそういうお客さんのオーダーを誘うメリハリが必要でさ。お客さんの回転率で勝負をする大手チェーンならいいけど、個人の店で何から何まで450円とか500円なんていうメニューは一番つまらない。

メインの料理は調理に多少時間がかかるものがいいと宇野氏。20~30分待ってもらう間に、すぐ出せる料理やドリンクを具合よく薦められるので、客単価を高めやすいという(写真はイメージ)
メインの料理は調理に多少時間がかかるものがいいと宇野氏。20~30分待ってもらう間に、すぐ出せる料理やドリンクを具合よく薦められるので、客単価を高めやすいという(写真はイメージ)

 お酒はさ、オレは一番キモになるのはビールの値付けだと思うの。ビールは出数が多くて他店との差が一番分かりやすい商品だ。だから、これの値段を下げるとお客さんが「この店は得だな」って感じるんだよね。周りが680円だったら480円にするとかさ。オレが今の会社の最初の店を経堂に出したとき、お客さんで店が賑わうようになった一番のきっかけは、ビールの大瓶、中瓶、小瓶をみな同じ値段にしたことだった。

 その店では入り口の障子に墨でメニューを手書きしていたんだけどさ。雨が降るとぼろぼろになるから、その度に書きかえていたの。そうしたらある日、間違って大瓶の値段を小瓶と同じにしちゃってね。だったら中瓶も揃えちゃえって同じ値段を書いたら、その日からすごくお客さんが入るようになった。200円ぐらい安くたって、ビールだけ飲んで何も食べないというお客さんはまずいない。それより、お客さんが店に入りやすいと思ってもらえた方が店は繁盛する。

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