6月1日、大手企業の採用面接が解禁になり、2019年度の新卒採用も大詰めだ。中小企業はここからが本当の勝負ともいえる。欲しい人材を獲得するためには、企業説明会などで自社を「カッコよく」見せるための“採用ブランディング”が必要だ。ブランド戦略コンサルタントの村尾隆介氏は、独自の手法で中小企業の採用力を高めている。今回、同氏の採用強化プログラムを実施し、本番さながらのプレゼン特訓に臨んだのは、ビルやホテル、病院などのリノベーションを展開するラックス(広島県福山市)だ。今回は、村尾氏からどんな指摘が出てくるか。

 都内某所の会議室に、ラックスのリクルートチームのメンバー4人が集まった。チームを率いるのは、山田哲矢社長だ。村尾氏のプロジェクトでは、各部署から選出された若手メンバーでリクルートチームをつくり、一人ひとりが5分ずつプレゼンする。これは、合同企業説明会などの場でそのまま活用できる。

 ラックスでは、初めに社長が会社全体の説明をした後、営業部、工事部、総務部のメンバーが、各部署の仕事内容を説明。他社の協力者たちがオーディエンスとして彼らのプレゼンを見守り、プレゼンの後は、本番さながらの質疑応答も実施する。

社長自ら10の表現で欲しい人材像を浮き彫りに

 緊張した面持ちのラックスのメンバーたちに、村尾氏は応援メッセージを送った。「今日は本番だと思って臨んでいただきたい。とはいえ、失敗ができる場でもある。いろいろなことにチャレンジして、ぜひ有意義な時間にしてほしい」。

<span class="fontBold">村尾隆介(むらお・りゅうすけ)氏</span><br />中小企業のブランド力向上を手助けしているコンサルタント。スターブランド社の共同経営者・フロントマン。14歳で単身渡米し、ネバダ州立大学教養学部政治学科を卒業後、本田技研工業に入社。退社後、食品の輸入販売ビジネスで起業。事業売却を経て現職。その成功ノウハウを中小企業に提供している。日本に中小企業のブランディングブームを起こした第一人者だ。『今より高く売る!小さな会社のブランドづくり』(日経BP社)など著書多数。日経BP総研 中堅・中小企業ラボ・客員研究員として、すごサイ(すごい採用プロジェクト)を監修する。
村尾隆介(むらお・りゅうすけ)氏
中小企業のブランド力向上を手助けしているコンサルタント。スターブランド社の共同経営者・フロントマン。14歳で単身渡米し、ネバダ州立大学教養学部政治学科を卒業後、本田技研工業に入社。退社後、食品の輸入販売ビジネスで起業。事業売却を経て現職。その成功ノウハウを中小企業に提供している。日本に中小企業のブランディングブームを起こした第一人者だ。『今より高く売る!小さな会社のブランドづくり』(日経BP社)など著書多数。日経BP総研 中堅・中小企業ラボ・客員研究員として、すごサイ(すごい採用プロジェクト)を監修する。

 プレゼンのトップバッターを務めるのは、山田社長。経営理念を説明した後、ラックスが提供している技術として、建物全体の改修技術、耐震補強技術などがあることを紹介した。加えて、ラックスが大事にしている、コミュニケーションについても説明した。全員が集まって月1回開催する「カッコいい会議」「カッコいい研修」で社員の意見をできる限り吸い上げているという。

 山田社長は最後に、ラックスが欲しい人材像を“夢追い超人”と名付け、以下のような10項目を挙げた。

  • 目標・夢を探している人・持っている人
  • なんだかんだで人が大好きな人
  • あいさつをドデカイ声でできる人
  • ありがとう・ごめんなさいが素直に言える人
  • チームワークを大切にする人
  • ピンチはチャンスだと思える人
  • 社長がウルサイので突っ込める人   など

 「社長がウルサイので突っ込める人」は、「私に意見を言ってくれる人」と説明。10項目の中で山田社長が最も大事だと思っているのは、「目標・夢を探している人・持っている人」だという。「一緒に夢や目標を持ち、成長できる仲間を求めています!」と呼び掛けてプレゼンを締めくくった。

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