プレゼン後の質疑応答では、スライドに登場する写真に女性職員が多かったことに対して「男性でも働きやすいのか」という質問が出た。また、「総合職は介護の勉強をしなくてもできる仕事なのか」という質問に対して、「できるけれど、働いていると、勉強したくなる。おじいちゃん、おばあちゃんのことをもっと知りたいという気持ちになってくる」と井上さんの人柄がよく表れた言葉で回答した。

 井上さんのプレゼンに対する評価も上々。終始笑顔でアイコンタクトをしっかりとっていること、頼れるお姉さんという印象があったことを村尾氏は評価した。

 改善点としては、「総合職の柱は伝わったが、ルーティンワークの内容が分からない」ことを挙げた。メディア取材や地域のイベントが毎日あるわけではない。華やかな部分だけでなく、日々のルーティンワークという地味な部分を出すことで、学生の誤解や入社後のギャップを防ぐことができる。

 また、話し方にメリハリがなかったので、伝えたいところは声を大きくして強弱を付けるといいこと、「本部」と「総合職」など、同じ意味を表す言葉は、複数使うと学生には伝わらないので1つに絞ったほうがよいと伝えた。

発表者のパーソナリティーを前面に出してもよい

 最後のプレゼンターは、介護職として現場で働いている、入社1年目の滝野あゆみさん。プレゼンテーションでは、介護職の魅力を伝えた。滝野さんが考える介護職の魅力は、「人と関わること」「夢をかなえること」「未来を想像すること」の3つ。

 どれだけ技術が進歩しても、人を支えるのは人であること。そして、入浴などの身体介助だけでなく、利用者一人ひとりの「もう一度、昔習っていたフラダンスをしたい」「夫婦の思い出の写真がないから撮りたい」などの思いに寄り添い、彼らが諦めていた願いをかなえられることをアピールした。

リアルな写真を多用したスライドを使って、具体的に仕事内容をプレゼンする滝野さん。人に関わる仕事の尊さについても伝えることができた(写真:山本祐之)
リアルな写真を多用したスライドを使って、具体的に仕事内容をプレゼンする滝野さん。人に関わる仕事の尊さについても伝えることができた(写真:山本祐之)

 そして、これから高齢化が進む日本の介護の将来を創造し、変えていくことができる。今後は介護ロボットの導入などで職員の負担を減らし、マイナスのイメージから、誇れる仕事というイメージに変えていきたいと話した。

 質疑応答では、「夢をかなえるとは、どのような頻度で利用者の声を聞いているのか」「資格取得などの支援はあるのか」などの質問が出た。

 入職後1年に満たない滝野さんに対し、村尾氏は「目がキラキラしていてきれいだった」と褒めたうえで、改善点として、「もう少し滝野さんのパーソナルな部分がプレゼンに盛り込まれていたほうがいい」とアドバイスした。

 言葉の行間を読めば分かるが、「1年目の私がこんな仕事を任されているんですよ。すごいじゃないですか!」くらいの本音があってもいいのではないか。学生たちは、発表者のプレゼンを見て、尊敬できる先輩かどうか、背中を追うに値する人物かどうかを判断するからだ。

 3人のプレゼンが終わった後、村尾氏は、全部のプレゼンが終わったら、発表者はすぐに学生のところに行き、「質問してくれてありがとう」「ぜひエントリーしてね」と話しかけて名刺を渡すようにアドバイスした。名刺を交換するだけで、その学生がエントリーする確率は50%ほど上がるという。

 改善点はあったものの、隆生福祉会のメンバーたちはそれぞれ堂々としたプレゼンを披露した。本番では、よりブラッシュアップされたプレゼンで学生たちに自分たちの魅力をアピールできるだろうか。同法人では、さっそく3月20日の福祉関係の企業団体が集まる合同説明会にて実力を試した。

(当連載では、隆生福祉会が挑んだ、合同説明会当日のレポートも掲載予定です。構成:尾越まり恵、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)

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