ブランディングでは、コーポレートカラーのピンクでパンフレットを新しく制作したり、積極的に地元のメディアに出たり、従来の介護の印象を払拭したおしゃれなイメージを意識したアピールに力を入れていることを説明した。
プレゼン後の質疑応答では、「有給休暇は何日あるのか?」「英語ができなくてもフィンランド研修には行けるのか?」「職員たちは仲がいいのか?」といった質問が出た。
さて、岡田さんのプレゼンに対する村尾氏の評価はどうだっただろうか。
まずは、良かった点として、「グローバル」「テクノロジー」「ブランディング」と介護業界においてカタカナを使ったことを挙げた。学生にカッコよく映るからだ。また、メディアに登場していることは保護者の安心につながるので、PRポイントとなることも指摘した。
プレゼンでは服装も重要だ。身なりで学生が会社の雰囲気を判断することもある。岡田さんはシャツのボタンやステッチ(縫い目)にコーポレートカラーのピンクを取り入れていて、ビジネスカジュアルの服装は親しみがあって良いと村尾氏。「介護職員がバリバリのスーツ姿だと、違和感があるかもしれない。また、カジュアルに見せたい場合、靴を茶色にするのはGOOD! 黒だとフォーマルなイメージになる」という。
さらに、「始めはジャケットを着て登場し、学生の前で脱いでからプレゼンをスタートすると、リラックス感を高めることができる」とちょっとしたテクニックも紹介した。

続いて、改善点だ。
まず、村尾氏は話すときの姿勢に触れた。岡田さんはプレゼン中に腕を組んでいたが、これは心を開いてないことの表れで、学生は拒まれている印象を持ってしまう。また、「トップバッターは、場の緊張をほぐすために、少人数のブースであれば、参加者1人ずつと握手をしてから始めてもよい」と村尾氏はいう。
次に、プレゼンのスタートと終わり方のテクニック。トップバッターは、これから誰が何の説明をするのか、全体のプレゼンの流れを伝えてからスタートするとよい。余裕があれば、ブースのカベにそれぞれのプレゼンの時間と説明内容、発表者を書いて貼り出しておくと親切だ。
終わり方については、質疑応答の後に、「それでは学生の皆さん、一緒に働けることを楽しみにしています。ぜひうちにエントリーしてください!」など、発表者なりの最後のコメントやポーズを決めておくといい、と村尾氏はアドバイスした。
また、質疑応答で出た質問には、プレゼンに盛り込むべき内容のヒントがあると指摘する。「学生の聞きたいことを先に伝えることが、プレゼンテーションのあるべき姿」と村尾氏。今回挙がった、「職員の仲はいいのか」という質問は、多くの学生が知りたいと思うことなので、プレゼンに盛り込んでもいいのではないか、とアドバイスした。
岡田さんのプレゼン時間は10分21秒。予定より大幅にオーバーし、参加者からは「途中でプレゼンのテンションが落ちてしまった印象がある」という指摘もあった。これに対し、村尾氏は「できればあと3分は削ってほしい。短くすることで、テンションを保ちやすくなる」と指導した。
華やかな部分だけでなく、地味な部分も伝える
続いてプレゼンをしたのは、17年4月に中途入職したばかりである人材開発部の井上愛さん。裏方で現場を支える総合職の仕事について説明した。
「現場が近い」「経営を感じる」「社会をつなぐ」。この3つのキーワードが、隆生福祉会の総合職の魅力であると伝えたうえで、井上さん自身も、企業理念の「5つの笑顔」に共感して隆生福祉会に入ったと話した。
井上さんの具体的な仕事内容としては、メディア取材の対応や海外視察、施設と地域を結んだり、認知症について勉強するようなイベントを開催したりする。地域で一人暮らしの高齢者が孤立しないように、施設を訪問してもらい、孤立を防ぐような取り組みをしていることも伝えた。
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