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再生ブロックで消費者のモチベーションアップ

 プラスチックごみの削減では、花王は1991年から洗剤やシャンプーなどの詰め替え商品を販売し、容器に使うプラスチックの量を減らしてきた。詰め替える際にこぼしにくくしたり、シャンプーなどを容器内に残さず最後まで無駄なく使い切れるようにしたり、詰め替え商品の形状も進化させている。さらに、2017年4月には“本体要らず”の「スマートホルダー」を発売した。ボトルを縦に半分に割ったような形状のものにポンプが付いており、そこに詰め替え商品の注ぎ口を装着すれば、本体の容器に中身を移し替えずにそのまま使える。

 今回、初めて披露した新型容器「エアインフィルムボトル」は、プラスチックを成型した従来のボトルと違い、平べったい薄型のプラスチックフィルムと空気でつくるのが特徴である。フィルムのふちの部分にぐるりと囲うように空気を入れて“浮き輪”のように膨らまし、その内側の部分に液体のシャンプーを充てんする。ボトルと同じように立てて置くこともできる。使い終わった後は、空気が入った部分をカットすれば元通りぺったんこになるのでごみがかさばらない。

 従来のプラスチックボトルに比べて使用するプラスチックの量が少なく、さらに単一の素材でできているためリサイクルがしやすい。中身の液体も容器に残さず使い切れるという。2019年中に商品のボトルとして採用する考えだ。シャンプーなどの日用品だけでなく、食品容器などにも用途を広げることも視野に入れる。

花王が開発中の新型容器。ふちの部分に空気を入れて浮き輪のように膨らませることで、薄いプラスチックフィルムでも自立できるようにした

 エアインフィルムボトルは、再生プラスチックの100%活用を目指すものだが、問題は使用済み容器の分別回収を徹底できるかどうかだ。一般消費者の意識を高めて協力を促すことが欠かせない。花王は、自治体と協力して詰め替え商品の使用済み容器を回収し、再びプラスチックに戻す取り組みを進めている。2016年1月に徳島県上勝町で活動を開始したのを皮切りに、その後、宮城県女川町、神奈川県鎌倉市、宮城県石巻市でも展開している。

 例えば女川町では昨年4月の開始から3カ月間に詰め替え商品の使用済み容器を約3500枚回収し、約350個のブロックに再生した。石巻市では、市役所や集会施設など9カ所に回収ボックスを設置している。今年7月21~22日に開催したイベントでは、約400人が詰め替え商品の容器を再生したブロックでレリーフを作った。

 将来的には、回収した使用済み容器を再び容器に戻す考えだが、ブロックに再生することにも意味がある。長谷部取締役は、「子どもから大人までいろんな人がブロックでいろんな物を作れる。使用済み容器を集めたくなってくる。すべてのプラスチックを捨てさせないモチベーションを高めたい」と話す。

花王は使用済み容器の回収・リサイクルにも力を注ぐ。再生材で作ったブロックを組み上げる宮城県石巻市の子どもたち