日本的経営の見直し迫る

 議決権行使助言会社の動向も無視できない。投資家に議決権行使の賛否を助言するサービスを提供しており、外国人株主に絶大な影響力を持つ。今や日本株全体の約3割を外国人が保有しており、多くの海外投資家が助言会社の賛否を採用する。

 米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)の石田猛行エグゼクティブ・ディレクターは、日本独特の顧問・相談役制度に警鐘を鳴らす。「社長経験者の相談役や顧問は、経営面で強い影響力を持つ。基本的には反対する」と警告する。

 米グラスルイスは、来年から女性取締役がいない企業に対して、会長または社長の選任議案に反対を推奨する。上野直子アジアリサーチシニアディレクターは、「日本の経営者の多くが、女性活躍が腑に落ちていない。多様性が企業価値の源泉になるという意識が必要」と話す。

大手議決権行使助言会社
つまるところは取締役会
相談役制度には反対助言

<span class="fontBold">石田 猛行 氏</span><br />米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ エグゼクティブ・ディレクター
石田 猛行 氏
米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ エグゼクティブ・ディレクター

石田:日本企業は、事業部門の長を経て取締役になるケースが多い。事業ポートフォリオの選択は、自分の身を切る作業でもある。かつて自分が所属していた事業を切ることはなかなかできない。成功体験を持つ顧問や相談役も同様だ。そのため、顧問・相談役制度は、基本的には反対する。取締役会の健全性をいかに確保するかという視点が大事だ。社外取締役の「外部の目」が重要になる。

大手議決権行使助言会社
「形だけ」もできない
女性取締役の起用

<span class="fontBold">上野 直子 氏</span><br />米グラスルイス アジアリサーチ シニアディレクター
上野 直子 氏
米グラスルイス アジアリサーチ シニアディレクター

上野:来年から日本の主要企業100社を対象に女性取締役の起用を求める方針だ。女性の取締役や監査役がいない場合には、会長または社長の選任議案に反対を推奨する。男性しかいない取締役会はリスクが高い。「形式的な対応にならざるを得ない」と、正直に発言する社長はまだいい。形式的な対応すらできない日本企業がほとんどだ。女性取締役の起用は、ガバナンスに取り組む意思を示すシンボルとみている。

本記事は、「日経ESG」2018年9月号(8月8日発行)に掲載した内容を再編集したものです。

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