走った分だけ課金

 日本では、SMASが所有する約80万台のクルマを生かして事業を拡大する。現在はリースのみだが、今後はカーシェアリングなども展開する。料金も1台ごとに課金する方式にとどまらず、走った距離に応じて課金する方式を模索する。従量課金に対応できるように、SMASのクルマに位置や移動距離が分かる通信機能を搭載する計画だ。

 沖縄県石垣市では、住友商事が出資する台湾ゴゴロの蓄電池交換式電動スクーターと充電ステーションによるシェアリングサービスを展開中だ。住友商事自動車モビリティ事業本部長の加藤真一執行役員は、「クルマを売って儲けるというより、いろんなところで課金できるモデルを考えている。2020年までに順次サービスを始めたい」と言う。

 自動車業界は「100年に一度」といわれる大変革の時代を迎えている。気候変動や交通渋滞といった環境・社会課題の解決をビジネスに結び付けようと、各社がサービスの開発を競っている。

リヴィアンオートモーティブCEOに聞く
日本は重要な市場だ
<span class="fontBold">R.J. スカリンジ氏</span> </br>リヴィアンオートモーティブCEO
R.J. スカリンジ氏 
リヴィアンオートモーティブCEO

 2009年に設立したリヴィアンオートモーティブ(米国ミシガン州ブリマス市)は、車両の設計・開発に加えて、自動運転やデータ通信、蓄電池などの技術開発を手がける。イリノイ州には年間30万台の生産能力を持つ工場を構える。

 激変する自動車業界に参入し、どうやって勝負するのか。R.J. スカリンジCEO(最高経営責任者)に聞いた。

EVは既に多くの競合が存在する。リヴィアンオートモーティブの優位性はどこにあるのか。

スカリンジ: まず、「スケートボード」と呼ぶシャシーだ。薄いプラットフォームの中央に蓄電池を配置し、ブレーキやサスペンション、冷却システムなどを搭載する。これをすべての車種で共用する。

 次に蓄電池。セルは円筒型の汎用品を購入して使うが、人によって異なる運転の仕方を学習し、運転者に応じて蓄電池の充放電を管理して特性を変える技術を搭載する。

 最後がデータ通信技術で、蓄電池の稼働状況や運転の仕方など走行データを吸い上げる。これを分析し、自動運転技術を活用して、運転者が他では味わえない体験ができるようにする。例えば、家族で出掛けた帰りに高速道路を走る際は、ソフトな運転をするように車両を制御するといった具合だ。

EVの量産はいつから始めるのか。どんな特徴を持つのか。

スカリンジ:2020年から量産を始める。第一弾としてピックアップトラックを発売し、続けてSUVを投入する。プレミアム(高級な)やアスピレーショナル(熱望する)ブランドを目指している。「ライフアドベンチャー」をテーマにしており、クルマの荷室が大きく、清掃もしやすいのが特徴だ。

 航続距離は400マイル(640km)以上になる。安全評価試験で5つ星を獲得していながら、ゴルフバッグやベビーカー、スノーボード、スキーといった多くの荷物が積めて、かつこれだけの距離を走れるEVという点で、今のところ競合は見当たらない。

EVを使ってカーシェアリングを展開するということだが、ターゲットとなる市場はどこか。

スカリンジ:米国でサービスを始めた後、EU(欧州連合)やアジアでも展開する。日本も重要な市場になる。展開地域を広げていく中で、小型のEVなど車種を追加する予定だ。開発するEVは当社のサービスで使うだけでなく、他社にも提供する。

本記事は、「日経ESG」2018年9月号(8月8日発行)に掲載した内容を再編集したものです。