海洋プラのサプライチェーン確立が急務

パーレイのシューズを消費者にどう広げていくのでしょうか。

リッキー:2017年には世界で100万足を販売しました。2018年は500万足を売る予定です。日本では2017年から販売していますが、今年から本格的にプロモーションします。

 我々の信念は「スポーツを通して人生を変えること」ですので、第一義的にはアスリートの試合に違いをもたらすこと、つまりスポーツブランドとして優れた機能を発揮することです。一方で生活の中でファッションとして消費者が期待する製品も作らないといけません。日本の消費者と意見交換したところ、スポーツ以外で出掛ける際にも当社の製品を履きたい、着たいと思っていることが分かりました。

 現代はストレスの多い社会です。国際的な摩擦や環境問題に直面していることを、Z世代(1990年代~2000年代生まれの現在15~25歳の人たち)は気にかけています。世界を変えたい、環境や社会を変えたいのにどうしたらよいか分からない。彼らは信頼できるブランドの製品を買いたいと思っています。

 サステナブルな商品をマーケティングの一環にできる、差別化に使えると感じました。パーレイのシューズは新しい差別化の手段だと思っています。確かにコストはかかります。しかし、価値ある投資だと感じています。

今後の課題は何でしょうか。

リッキー:海洋プラスチックゴミのサプライチェーンを確立することです。海洋プラスチックゴミを誰が回収するのか、回収する労働者の人権をどう守るのか、他のプラスチックとの分別をどう担保するのか。消費者に対して海洋プラスチックのリサイクルを企業としてうたうなら、100%正しいことを確認しないといけません。

 従来の製品は原材料を購入して工場で生産すればよかったのですが、パーレイの場合は原材料である海洋の廃棄プラを探して回収するのも、すべてが自力です。予想していたスピードでは実現できません。サプライチェーンを新たに構築しないといけません。

 もどかしいけれど、とてもエキサイティングです。うまくいけば他社にも原材料を提供でき、新たな事業機会につながるかもしれません。

 消費者はブランドの価値を見て商品を購入します。何を信念とし、どういう立ち位置で進むのか。社内外に対し、私が繰り返し伝える必要性を感じています。

本記事は、「日経ESG」2018年8月号(7月8日発行)に掲載する内容を再編集したものです。