サッカーのワールドカップでベルギーに惜敗した日本代表チーム。サムライブルーのユニフォームの右胸を飾るのはアディダスのロゴだ。歴代の日本代表ユニフォームを製作してきた独アディダスは、「スポーツを通して人生を変える」という方針を打ち出し、その重要な柱の1つに地球や人の持続可能性(サステナビリティ)を掲げている。海洋プラスチックゴミを活用して有名チームのユニフォームやシューズも生産している。同社ブランディング統括エグゼクティブ・ボードメンバーのエリック・リッキー氏に活動の真意を聞いた。
エリック・リッキー氏:
独アディダスのブランディング統括エグゼクティブ・ボードメンバー。米オハイオ州生まれ、ウィスコンシン大学卒。1996年にアディダス・アメリカに入り、ビジネス部門マネジャー。1999年にブランド・マーケティングのディレクター、2004年に同バイス・プレジデント。2006年に独アディダスのスポーツ・パフォーマンス・ブランド・マーケティングのスーパーバイス・プレジデント。2014年から現職(写真:中島正之)

サッカーのワールドカップが開催されています。その最中の6月に、アディダスは海洋プラスチックゴミを使って製作したシューズの新モデルを発売しました。ワールドカップや2020年の東京五輪では、環境や持続可能性が重要なテーマになっています。こうした世界大会を契機に、アディダスでもサステナビリティの活動を加速させているのでしょうか。

リッキー:当社はサッカーのワールドカップの公式スポンサーになっています。残念ながら東京五輪の公式スポンサーではありませんが、こうした世界的な大会はサステナビリティの活動を消費者に伝えられる良い機会です。

 アディダスの信念は「スポーツを通して人生を変えること」です。その中でサステナビリティは重要な柱です。人々のためと地球環境のための両面からサステナビリティに取り組んでいます。

 人々のためとは、労働者の権利を尊重することです。アパレル業界ではサプライチェーンに多様な人々が働いています。中東や北アフリカからの移民や、中国の地方都市から出てきた人もいます。例えば人権問題が起きた時に、彼らがアディダスの幹部に直接連絡ができる「ホットライン」を業界で初めて設けました。

 地球環境の保全に対しては、あらゆるアプローチをしています。水を使わずに染色する「ドライダイ」の生地を用いた製品を開発し、水の使用量を大幅に削減しました。また、持続可能に生産された綿の認証を受けた「ベターコットン」の調達も増やしています。再生ポリエステル繊維の使用量も増やしています。海のプラスチックゴミを原料としたシューズの開発も象徴的な取り組みです。今年6月に発表した秋冬モデルは、シューズ1足につきペットボトル11本を使用しています。