中国で廃PETボトルを材料にペレットやシートを製造していたリサイクル事業者が、日本の廃PETボトルを求めて日本に進出し、工場建設を進めているとの情報もある。

 「日本の廃棄物は、欧米の廃棄物と比べても高い競争力を維持できそうだ」と東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の小島道一シニア・エコノミストは話す。

リサイクルの競争力を鍛えるEU

 「質の高い廃PETを原料に、質の高いリサイクル素材を供給したい」と協栄産業(栃木県小山市)の古澤栄一社長は話す。メカニカルリサイクルと呼ぶ技術を確立し、廃PETボトルを原料に使ってPETボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル」を実現。飲料向けに供給してきた。

 今年3月にはサントリーホールディングスなどと共同開発した新技術を発表した。PETボトル製造工程のエネルギー消費を抑えられ、従来の技術と比べてボトル1本の製造におけるCO2排出量を25%減らせる見込み。茨城県の協栄産業グループの拠点にサントリーと協栄産業が合計約20億円を投じて専用設備を導入する。

 古澤社長は、「中国に依存せず、国内でリサイクル事業を強化するには、バージン材に負けない機能性や付加価値の高い製品の製造技術を磨く必要がある」と話す。

 リサイクル品質の向上へ欧州も動く。EU(欧州連合)の欧州委員会は廃棄物法案の改正を発表した。現在4割程度にとどまるプラスチック容器リサイクル率を2025年に50%、2030年に55%に高める方針だ。

 「域内で競争力の高いリサイクル素材産業を育成し、雇用を拡大するが狙い」と地球環境戦略研究機関の粟生木千佳主任研究員は話す。

 今年1月には、域内におけるプラスチック製品・容器の製造を効率化し、リサイクルやリユースなどを促進する「プラスチック戦略」を発表。欧州委員会は今後、リサイクル素材の品質基準などを設定する計画である。EUの域内循環を政策で加速する。

 世界で廃棄物リサイクルの質を高める技術とインフラ、制度の強化が加速する。日本もリサイクル産業の競争力をいっそう高める時だ。

中国から他の国に切り替えが始まった日本からのPETボトルくず(PETフレーク)の国別輸出量
出所:貿易統計(HSコードは3915.90-110)

 本記事は、「日経ESG」2018年5月号(4月8日発行)に掲載した内容を再編集したものです。