中国政府は2016年に始まった第13次五カ年計画で廃棄物の輸入規制に言及。4月には、習近平国家主席を長とする委員会が輸入ゴミの規制強化と廃棄物の輸入管理制度の案を公表した。

 同時期、環境行政を担う環境保護部が輸入廃棄物の加工業者による環境汚染などの違法行為を摘発。全国約1800社に立ち入り、約1070社で環境モニタリングの不備や不適切な廃棄物保管などを指摘した。一部の事業者は、事業に必要な許可証が取り消されたという。

 今回輸入を禁じた主な品目は、生活由来とされる使用済みの廃プラスチックや未選別の紙ゴミ、紡績原料の廃棄物、廃金属くずなどだ。鉄や銅、鉛、カドミウムを含むスクラップ、エアコンや洗濯機、複合機、電話、蓄電池やプリント基板なども輸入基準が厳しくなる。

中国が海外のゴミを締め出したワケ

 中国が規制強化に踏み切った目的は、国民の健康と環境の保護、そして国内の廃棄物処理体制の確立だ。

 現地では、野積みされた雨ざらしの廃棄物から労働者が手で金属類やプラスチックなどの資源を選り分ける。その過程で電子機器の水銀や鉛、カドミウムなどの有害物質などが飛散し、大気や土壌、地下水の汚染や健康被害も生じている。

 米国などの分別の粗い廃棄物は、市民の不満の的になってきた。異物が多くリサイクルしきれずに焼却され黒煙を上げたり、河川に投棄されたりする光景が目に付くという。「習政権には、健康被害や環境破壊に終止符を打つ規制方針を示すことで、国民の支持を得る狙いもありそうだ」とNTTデータ経営研究所の王長君マネージャーは話す。

 規制により中国の製造業は安価な原料を失う。習政権は不足を賄うため、国内で生じる廃棄物の回収とリサイクル産業を強化する。7月、国務院が発表した廃棄物輸入管理制度には資源回収体系の強化を明記した。2015年度に2億4600万tだった回収量を2020年度に3億5000万tにする目標を掲げた。

日本から中国に輸出された雑品スクラップ。分別が粗く、プラスチックが混在している