だからハンガリーでは60~70度もあるパーリンカを自分たちでつくる。それをすきっ腹に飲むと胃がほどよく動き出すので、そこにテペルトゥを食べるのが最高らしい。ワイルドすぎるぞ、ハンガリー人。
テペルトゥの調理自体はとても簡単だ。脂身を3~4センチの角切りにして、油を少し引いたフライパンにいれ、塩を少々ふってじっくりと炒める。溶け出た精製ラードで脂身の表面がカリカリになれば食べごろだという。
「今日は特別にマンガリッツァ豚の脂身でテペルトゥをつくります」
国宝マンガリッツァ豚
アティラさんの言葉に参加者の数人から感嘆の声があがった。聞けば、マンガリッツァ豚はハンガリーにしかいない品種で、牛肉のように色が濃くやわらかい赤身と良質な脂肪が特徴。その脂には血中のコレステロール値を下げる働きがある不飽和脂肪酸が多く含まれ、さらにビタミンや亜鉛などのミネラルも豊富。とてもヘルシーな豚だそうだ。
「脂の融点が普通の豚より低く、サラサラしています。その肉質と希少性から2004年には国宝に認定されたんですよ」とアティラさん。飼育管理も政府がおこなっていて、ハンガリーでもふだんはなかなか食べられないらしい。日本にもブランド肉はいろいろあるが、国宝とはレベルが違う。
焦げないように時折かき混ぜながら脂身を炒めていく。溶け出す油はキラキラと透き通っていてなめらかだ。火にかけてから約30分、こんがりと揚がったテペルトゥが完成した。
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