「まず、ソテーした豚肉とグリンピースを玉ネギ、ニンニクと一緒に煮込みます。味付けは塩とトマトソース、唐辛子などを少々。マダガスカルの食材は味が濃いので手の込んだ味付けをしなくてもいいんです」。日本ではブイヨンを少し入れるそうだが、母国ではそれも必要ないとエリックさんはいう。
エノキソア・プティポワは日常的に食べるごくふつうの家庭料理だそうだ。「小さい頃にお母さんがよくつくってくれました。マダガスカルでは豚がけっこう高価なので、食べきれないから残そうとすると怒られたなあ」と笑うエリックさん。豚より牛のほうが安くて、鶏肉が一番貴重だという。日本と逆なのが興味深い。
「マダガスカルは豚より牛のほうが多いので、そのぶん高価なんだと思います。鶏はどの家でも飼っているんですが、放し飼いにしていて家畜というより一緒に暮らすペットのような感覚。そのせいか、普段はあまり食べないんですよ」。卵を得るため、というのもあるのだろうか。いずれにせよ、カモなども含めて鳥の肉は、クリスマスなどの特別な日に食べることが多いそうだ。
そして、エノキソア・プティポワに限らず、これらの肉はグリンピースや青菜、キャッサバの葉などの野菜と一緒に煮込みや汁物にすることが多い。野菜もたいていの家庭が自分で育てている。エリックさんの家は首都アンタナナリボの中心部だったが、それでも小さな畑があったそうだ。
「こうした煮込みをごはんにかけて食べるわけです」
え、ちょっと待って。ごはんにかけるのはマストなの? そう聞くとエリックさんは「そうですよ」とにっこり。「この食べ方こそがマダガスカルのスタイルです」
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