そう言いながらエリックさんが厨房から出てきた。そんな言葉を聞いたら、ますます食べるのが楽しみになるじゃないか。本来は日替わりでデザートも付いたランチセットなのだが、事前に相談していたソウルフードを出していただく。エリックさんは私の目の前に料理がのった皿を置いた。
「これは、エノキソア・プティポワです」
エノキソアは豚、プティポワはグリンピースという意味で、豚肉とグリンピースを煮込んだ料理だという。しかし、皿に視線を落として驚いた。よく煮込まれているのだろう、赤みがかったスープがしみ込んだ豚のブロックとグリンピース、それがホカホカの白いごはんの上にかけられていたのだ。
盛り付けはきれいなのだが、言うなれば豚丼である。日本人に合うどころか親近感すら覚えてしまう。聞いたところ、ごはんはエノキソア・プティポワには含まれないそうだが、「ごはんと一緒に食べて」とエリックさん。かき込みたい衝動を抑えて、スプーンで口の中にいれた。
ふわーっとトマトのさわやかな酸味が広がった。今までに食べたお隣のアフリカ大陸の料理は油が強かったので、なんとなくそれを想像していたが、さっぱりしていてシンプル。だから、豚肉のうま味とグリンピースの甘みがしっかりと舌に伝わってくる。ゴロゴロとした豚肉はやわらかく、口の中でほろりと崩れ、後からくるピリッとした唐辛子のアクセントがまた、食欲をそそる。そして、これがごはんとマッチしているのだ。
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